2006年6月22日木曜日

ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」

昨日の夕方から雨模様で、本当に梅雨になったのかな、と実感。
 
やっと「ダヴィンチ・コード」文庫本 全3巻を読み終えた。かなり時間がかかってしまったなー、というのが実感。
仕事の方も、ちょっと忙しくなっていたのも読み進めなかったのも一因ではあるのだが、やはり「キリスト教」というあたりが、読み飛ばしていけなかった大きな原因なのだろう。
 
筋書き的には、イエス・キリストとマグダラのマリアとの関係について、ある秘密結社(「シオン修道会」というらしい)が、カトリック教会(というより、教会をはじめとするキリスト教全般)の目から秘密を守り通してきた。その過去の総長の一人がレオナルド・ダ・ヴィンチで、彼は秘密に関する様々な示唆を絵画をはじめとする作品の中に残している、というのが底流にある流れ。
 
発端は、この秘密結社の現代の関係者と(と後でわかる)思われるルーブル美術館の館長が殺される場面から。
死体には自らが細工したと思われる「ダビデの星」やらブラックインクのダイイング・メッセージやらなにやら奇妙な仕掛けがあって、この館長の孫娘と犯人に間違えられたアメリカの学者が、その謎から導き出されるキリストの謎を解き明かしていくという展開である。
 

キリスト原理主義っぽいような教団の信者(これがまた、アメリカやフランスで結構力をもっていて、おまけにバチカンからの支援も受けている、というのが不思議なとこだな)やら、腕利きで国内の有名人である捜査官や、「聖杯」の研究をしていてフランス住まいのイギリスの貴族やらがでてきて、それなりのサスペンスとしての楽しみや、ダ・ヴィンチやキリスト教のペダンチックな知識は面白いのだが、なんか「のれなかった」というのが、読み進むのに時間がかかった原因。
 
で、「のれなかった」原因というのが、「キリストの謎」というのが、仏教徒というかシントーイストというか、無宗教に近い日本人の一人として、「ふーん」というあたりだからだろう。
で、最後の方で、この孫娘が実は、さる高貴な(しかもやたら高貴な)血筋で、死んだと思っていた家族が実は・・・、てなことになってくると、おいおい出来すぎじゃないの、とつぶやきたくなる。
 
もっとも、このあたりは、欧米では、映画の公開にあたってカトリック教会が影響を懸念する声明を出したり、信仰は揺るがないという人もでてきたり、まあ、かなりの騒ぎだったように見受けるのだが、実のところ、キリストが妻帯者であろうと何人の子持ちであろうと、あんまりショックを受けない「異教徒」の私としては、薬味、汁ぬきで蕎麦を食うような面持ちで、なんとも拍子はずれの「話題作」だった。
 
でもまあ、ダ・ヴィンチや古代のキリスト教にまつわるTips、
 
例えば
 
カバラ密教ではアナグラムを重んじ、ヘブライ語の字句を入れ替えて新たな意味を導き出していた。ルネッサンス時代のフランス歴代国王は、アナグラムに魔力があると信じていたため、直属のアナグラム研究家を登用して重要文書の文言(もんごん)の解析にあたらせた
 
とか
 
ダ・ビィンチには、描いただけで制作に移さなかった設計図が難百枚もあった
 
とか
 
ニケーアの公会議が開かれるまで、信者たちはイエスを人間の預言者だとー影響力に飛んだ偉大な人物ではあるが、あくまでも人間とみなしていた。
"神の子"というイエスの地位は、ニケーア公会議で正式に提案され、投票で決まった。しかも、かなりの接戦で。
 
とか
 
新約聖書を編纂するにあたって、80を超える福音書が検討されたが、採用されたのは、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4つだけだった。おまけに、その聖書をまとめたのは、異教徒だったローマのコンスタンチィヌス帝(この皇帝、キリスト教徒に改宗したように思っていたのだが、実は死ぬ間際に先例を受けただけだったらしい)
 
などなどは、面白い。
 
うーむ、まあ、話題作でありますねー。

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