2013年7月30日火曜日

「おべんとうの時間」

飛行機で移動する時、離発着の一定時間はでデジタル機器の使用が禁止されるので、KindleやiPadなどで書類や自炊本、電子書籍を読んでいる身としては、何も読むものがない、という事態に出くわす。そんなとき否応無しに手に取るのが機内誌で、ANA機に乗り合わせた場合、個人的に一番好みの記事は「おべんとうの時間」(ちなみに、2013の7月号は鶴岡市立加茂水族館の副館長の奥泉さん)

記事の構成はまあ簡単といえば簡単で、全国各地の人が自分のお弁当を公開して、お弁当について語る、というものなのだが、どうしてどうして、これがまた深い味わい。

親や妻への感謝あり、不遇時代の思いであり、新婚時代のノロケありといった具合で、個人個人の今昔の「弁当の思い出」が語られるのだが、なんとも泣かせるものあり、微笑ましくなるものありで、今のところ機内誌の記事で一番のお気に入りである。薬味ばっかり食う感じがして、これをまとめた本を買うのは躊躇していたのだが、いっそ買ってしまうかな、と思うこのごろなのである。

2013年7月28日日曜日

バックアップについて

再び、高城 剛氏の著作「サバイバル地球旅行術」から
 
氏のバックアップについての考えはかなり慎重なもので、常に"ダブルバックアップ"を心がけているよう。
 
「ペン一つをとっても・・・メイン、バックアップ1、バックアップ2まで常に携帯し、すべてダメになれば、それはもう諦めるしかない」
 
とした上で
 
「その三つは同じ場所にはしまいません。ポケット、鞄、ホテルなどに分散させておきます」
 
という具合で、こうしたバックアップの備えがあってこそ、旅をしながらビジネス活動をし、定住せずに動いていく、というライフスタイルが可能になるんだろう。これは定住系の普通の暮らしをしている者にとっても見習うべきで、日頃、定住しているせいでバックアップについては、ついおろそかになる我が身を反省したい。

2013年7月27日土曜日

自らのデータの大部分を持ち歩く

最近は揶揄の対象になりつつある「ノマド」なのだが、その本家本元というか、実践者にして伝道者でもある高城 剛氏のkindle版「サバイバル地球旅行術」を読んだ。(もともとは光文社の「サバイバル時代の海外旅行術」のリニューアル版らしいが、なんと100円だった)
というのもなかなか海外旅行やノマド的な勤務は難しい仕事柄なのだが、高城氏のように海外を渡り歩きながら、忙しく仕事をしている人は、いったい、その仕事関係を含むデータをどうあつかっているのか何かヒントがないかと思ってのこと。
 
本書によると、何か特別な手法が存在するわけではなくて
 
(持ち歩いている)カードケースには大容量でコンパクトな32GのSDカードを入れています。そのSDには携帯電話を落としたときのための主要連絡先、自分の写真、パスポートのコピー、人間ドックの身体データなどがデジタルデータで入っています。・・・・さらに同じデータを、フリーメールの自分のアカウントに保存しておくと、世界中のどこにいてもダウンドードすることができます。
 
であったり
 
PC、iPod、32GSDカード10枚など常に合計で1TB以上のデータを持ち歩いているので、その中には、仕事データ以外にも音楽が1万曲以上、映画が500本、電子ブック500冊以上も入ってしまいます。半月の旅行では十分なエンターテインメントです
 
 
ということのよう。
これに加えて電子辞書、モバイルプリンターも旅行中の荷物には入れておくということなので、すべてクラウド的な解決ではなくて、やはり物理的な方法が必須のようだ。
 
しかも「仕事も旅行も、このカードケースと携帯電話、コンピュータ、カメラがすべてで、それに収まりきらない仕事は、引き受けられないと理解し、助っ人に頼むことにしている」というあたりが秘訣ということのような気がする。
 
ノマド、モバイルといった流行ものの話ではなく、職場に過度に依存せず、少し自由なスタイルをいれながら仕事をしていくことは、デスクワークの多い普通のビジネスマンも、こうした高城氏の仕事スタイルの一部やアイデアをあちこち取り入れてもいいでしょうね。
 

ToDoはデジタルかアナログか

古くはSonyのClieから始まっているので、PDAやスマホ歴は長い方だと思うのだが、いまだに揺れ動いているのが、ToDoをデジタルでやるかアナログでやるか、はたまたToDo管理というものをすっぱり諦めてしまうか、ということ。
総じて言えばデジタルで管理していることが多くて、RTM→Toodledoといった変遷を辿って、今のところはRTMに大きなタスクを入れておいて、それを底本にToodledoで日単位や週単位のタスクを管理するという方法なのだが、このほかにEvernoteとかも絡んできてどのアプリでどう管理していくのかってことが混乱しないでもない。
 
最近読んだ、永井孝尚氏の「残業3時間を朝30分で片付ける仕事術」では
「毎日手書きでToDoリストを書き出す」
頭の中にある、やらなければいけない仕事を、すべて、毎朝仕事を書き出す(必ず手書きで)
というのも、同じやるべきことでも、数日経つとその内容も微妙に変わってくるし、優先順位も変わる。パソコンや電子手帳を使うと、その変更を反映するのがどうしても億劫になり、一度入力した内容がずっとそのまま残ってしまうことのなりがち。
デジタルでは「考え直す」というプロセスを無意識のうちに省略してしまうことのなりがち。
とデジタルによる管理が陥りがちな欠点が指摘されていて、これはそのまま私のタスク管理に当てはまることが多くて耳が痛い。
 
 
で、世間的にはどっちかが主流かっていうのは、なんか朦朧としてはっきりしなくて、例えば「Toodledo 「超」タスク管理術」を書いている佐々木正悟氏や「タスクシュート」の考案者 大橋悦夫氏などはデジタル派かと思うのだが、同じ前著の著者でも北 真也氏は仕事柄、職場ではデジタルものが使えなくてノートなどアナログ系との併用であったような気がする。そしてアナログ派がけして傍流であるわけではないようで、例えば「ロディア ToDo」「ノート ToDo」「モレスキン ToDo」とGoogleに聞けばいかに多くの人がアナログでのタスク管理をし、それを推奨しているかがわかるはず(ただ、検索して思ったのは、ToDo管理っていうのは、どうもその時の文具やデジタルガジェットの流行と密接に関連しているようでありますな)。
 
といったところでToDoはデジタルかアナログかと書き出した割にはまとまりのつかないエントリーになってしまったのだが、要は毎日ToDoリストを見直して、最新のリストになっていることを確認し続けることが大事というのが基本線なのかもしれないな。 
 

2013年7月25日木曜日

恒心を保つということ

今日、数年来の懸案がほぼ片がつくところまで漕ぎ着けたのだが、こうした固まった懸案事項が解決されるときによくある例で、黒船的にひょんなとことからはじまって、あれよあれよ流れが生まれて、最後は激流的に、過去、多くの人が関わってもできなかったことが勢いでできてしまった、というお決まりのコースを辿った次第。

で、忙しくなるとついそれに精神をとられてしまって、ブログの更新は滞るし、そっちの仕事にかける時間が増えるので、ほかの仕事が脇に置かれがちになって不平も出るし、といった、これまたお決まりの事態になっているというわけ。
 
で、今回再び反省したのは、やはり「恒心を保つ」ということの大事さでありますな。どうしても長年来の懸案を解決するときには、それなりの労力と力わざと精神的な注力が必要なのは間違いないのだが、それだけに目を奪われてしまってはいけないよね、ということでありました。

2013年7月15日月曜日

メモ帳へのアクセスタイムを短くすることが大事

これまでは、奥野宣之氏や美崎栄一郎氏に触発されたり、モレスキンの格好良さに憧れながらB5ノートを使っていたのだが、MacBokk Airを買ったのを機会に、仕事などに出かけるときの持ち物や鞄の中身を極力少なくしてみようと思い。メモはロディアのみにして、仕事場や家のデスクにはB5のレポートパッドを備え付けて様子をみている。

で、体裁と筆記用具も持ち運びもあって職場のレポートパッドはコクヨのノートカバーに差し込んで使っているのだが、そこで改めて思ったのは、カバーがあるとどういうわけかメモをとるのが減ってしまうということ。
どうも、ペンをとり、カバーを開き、といった手順が複数重なることがバイアスになっているようだ。これは、アナログとデジタルとの違いはあれど、スマホやタブレットのメモやノートアプリが、立ち上げて、アプリを開き、といった手間のあるせいで、いまいち紙のメモ帳に敵わないところと共通しているのではないだろうかと思っている。

良い企画の基礎には大量のアイデアメモがあると考えると、ひょっとすると、素晴らしい企画を生み出す環境が云々と議論する前に、メモをとりやすい環境構築を解決すればよいだけなのかもしれないですね。

執着しない強さ

PRESIDENT Onlineのコラム 金持ち運をつかむ黄金法則(7)」でこんな記事を読んだ。
 
稼ぐ人は、お金やものに執着しません。それどころかいまの仕事や地位にも固執しない傾向があります。安定して収入を得られるポジションにいても、あっさり捨てて転職や独立をしたり、まったく違う分野に挑戦します。現状が頭打ちだから新天地を求めるというわけでもありません。たとえ将来が約束されても、そんなことに関心がないかのように環境を変えていきます。
 
 
このコラムはいわゆる成功のノウハウを紹介する類のものなのでそれなりの臭みがあるのだが、成功云々を脇に置いて、日々の心構えとしてもうなづけるものがある。
 
執着心や守ろうとする気持ちが出ると、人間弱くなるもので、大概の物事が鉄壁の守りということはなくてどこかしらウィークポイントはあるものだから、通常、そこの辺りを攻められたり、中から水が漏れたりして瓦解するのが常。
 
そうであるなら、むしろ今の環境は移ろい行くものとあきらめて、「変化していく」ことが常だと割り切るのが最良の手なのかもしれない。物事が完成しつつあるときには、むしろそういう気持ちで対処していたほうが、かえって上手の手から水がこぼれることがないのかも。
 

内向型と外向型

ちょっと流行っているらしいスーザン・ケインの「内向型の時代」を買ったはいいがまだ積ん読状態なところにLifeHacker.jpの「内向的な人と外交的な人がうまく共存するための方法」という記事を見つけた。
 
記事の趣意は、例えば仕事の打ち上げをどするかや金曜日の週末に何をするか、何かの集まりに誰を呼ぶかといった社会的なイベントの中で内向型の人間と外向型の人間のコンフリクトをどう少なくするか、といったところなのだが、傍論であるが興味深かったのは、内向型と外向型を見分けるのは
 
決定的な違いは、その人がどのように英気を養うかにあります。あなたにとって活力を一番得られるのはどんな環境ですか? ほかの人たちに囲まれることで元気になるのであれば、その人は外向的な人です。彼らは、1人で孤独に向き合っていると疲れを感じます。逆に、元気になるために1人で過ごす時間が必要な人たちは、内向的な人です。彼らは、大勢の人がいる環境に置かれると疲れてしまいます。
 
といったところにあるという主張。これは非常に示唆的で、アグレッシブで外に外にと出てくる人だから外向的だと考えるのはちょっと乱暴であるというのは個人的な感じからして首肯できる(基本的に、管理人も内向型だと思っているが、仕事上はかなり強引な方だと思われているので、そう思うのですよ)のだが、このエントリーの主論は、そうした隠れ内向型も含め、内向型が「英気」を養うにはどんな効率的な方法があるのか。というところ。
 
確かに内向型が英気を養うというかエネルギーとパワーを回復するには人から離れている時間が必要なことは間違いなくて、正直なところ仕事が立て込んで、おまけにそれがグループ作業である場合、四六時中、人と身近に、生身でやりとりをする状態が長ければ長いほど、内向型は消耗してしまうのである。
 
そこで必要なのは、強制的に一人になる、あるいは一人になっている状況をつくるということが重要で、いくつかの提案をしてみよう。
 
1 出張の時は書類を復習することにしてわざと離れた席に座る
2 昼寝や居眠りをしているふりをして会話から遠ざかる
3 休みがとれない場合は、無理に出張や遠目の外回りを入れる。しかもできるだけ一人で

といったところだろうか。要は孤独の状況で英気を養える状態をつくりあげることが重要だと思うので、内向型と思われる方は、そうした視点で工夫してみてはいかがだろうか

2013年7月14日日曜日

MacBook AirでスクリーンショットをとってJPGで保存する

MacBook Airでブログを書いているとスクリーンショットを掲載したいことがある。
Windwos機であれば、大概のキーボードにPrt Sc のキーがあるのだが、残念ながらMacBookにはない。
 
そんなわけで、MacBook AirでスクリーンショットをとってJPGにする方法を調べてきた。
 
で、やり方をメモ
 
まずスクリーンショットは
 
◎「command」+「shift」+「3」で画面全体
◎「command」+「shift」+「4」でドラッグで選択した部分
 
がデスクトップにPNGイメージで保存される。
ファイルネームは、私の環境では「スクリーンショット 2013ー◯◯ー◯◯ 14:◯◯:◯◯」といった形で保存した日付、時間をスタンプした名前になっている。
(「command」+「shift」+「4」+「Space」でカメラアイコンが出て、カメラアイコンで選択した一つのウィンドウがキャプチャできるらしいのだが、これはまだ試していない)
 
PNGの形式で使うならこれでいいのだが、そうはいってもWindowsでも使うJPG形式にしておいた方がなにかと便利なので、でこれを任意の場所にJPG形式で保存する。
 
デスクトップ上のファイルをダブルクリックして表示したら「書き出し」をクリック。
次の画面が出るので、「フォーマット」をJPGにして、「書き出し名』をお好みのファイル名を入力し、画面上は「デスクトップ」となっているところを、保存したい場所に変更。
 
最後に一番下にある「保存」をクリックすれば完了である。
 

METANOTAとSimplenoteの同期

WebやiPhone、iPadで使えるSimplenoteとMacのMETANOTAとの同期ができなくて少しん悩んだのが、自力で解決できたのでメモしておく。
当初、SimplenoteのデータはMETANOTA側にもってこれたのだが、METANOTA側で作成したデータがSimplenote側に反映されない状態。どうやらMETANOTAのPreferancesのDefalt accountが「Localnotes」になっていたのが原因のよう。
METANOTAの操作画面の下の方にある歯車マークをクリックして、Preferancesを呼び出す。ここのDefalt accountを「Simlplenote」に変更。その後、一番左側のペインの選択を「METANOTA」ないしは「SIMPLENOTE」にしておいて入力すれば、Syncの時間設定に従って、クラウド上のSimplenoteと同期してくれるようだ。
 

ブログのエントリーをはじめテキスト原稿は、Simplenoteで入力しておくと自宅のでストップWindows機、iPhone、iPadはもとより、Webでも扱えるから職場のPCからでも加工できて非常に便利。MacBookでも使えるようになって、さらにどこでも執筆ができる環境が整ってきたというわけだ。
 

2013年7月13日土曜日

コピー用紙を使ったA7の簡易メモ帳

たいていの場合はロディアのメモ帳を使っているのだが、手元にないときもあるわけで、そうした時のために財布に忍ばせているのがこのメモ用紙。アイデアの出典は奥野宣之氏の「知的生産ワークアウト」の蛇腹メモ。大きさはA7で、種を明かせば普通のA4用紙を折ったものである。


作り方は簡単で、A4のコピー用紙を、まず縦に二つ折りし、次は横に二つ折り、さらに横に二つ折り、としていけば、8ピース+8ピースのメモ帳ができあがる。コピー用紙は更のものを使っているが、もちろん使用済のものの裏面を使ってもいい。

使用後は、ノートを使っているのなら、メモの部分を切り離して、ノートに貼っておいて、後からそれに関するものを追記したりといった使い方ができるし、ドキュメントスキャナでA4用紙のままスキャンしておくといったことも、

嵩張らないので、これを常用してもいいのだが、使い古しのコピー用紙の裏を使っているとなんとも気勢があがらなくて、私の場合は通常はロディアのメモ。職場でロディアが切れたときや手元になかった時の予備・緊急用にこのメモ用紙といった使い分けをしている。もちろん常用のメモにされてもよいと思うので、一度お試しあれ。


2013年7月11日木曜日

Metanotaを使う

PhoneやiPadではSimplenoteを使っている。
テキストが共有できるアプリで、WindowsにもResophNotesというのがあって、例えばちょっとしたメモやブログの下書きなどを書いておくのに重宝していた。
Evernoteを使ってもいいのだが、立ち上げやらなにやらを考えると、そうしたメモを書きなぐっておくものとしては、ちょっと大げさすぎて、Simplenoteのようなアプリが手頃なのである。
 
ということで、今回、MacBookに変えたのだが、こうしたオンラインでテキストメモを簡単に共有できるアプリがないか探してみた。
 
で、まあ、あちこちググってみて、今使っているのが"Metanota"というアプリ。
Pro版もあってこちらは有料なのだが、なに廉価版の無料バージョンで十分使える気がする。
 
ちょっとそたメモアプリをお探しなら、使ってみて損はないと思うのでお試しあれ。

2013年7月10日水曜日

イーモバを解約

2年前からNTT西日本のフレッツ利用者に月額300円足らずで提供される光ポータブルにイーモバのSIMを差して使っていたのだが、2年縛りが満了するのを機会に解約した。
 
というのも、ノートPCをMacBook air 2013に買い替えたのだが、どうにも無線LANの掴みは悪いのである。起動した時には掴んでくれることが多いのだが、しばらくすると勝手に切断してしまって、その後はMacを再起動しないと繋がらなくなってしまうのだ。
Appleのサポートにも連絡して対策を試すのだが、まったく効果なし。じゃあ2013の特徴として言われてる無線LAN全般の掴みが悪いか、というとそうでもなく、ホテルの無線LANであったり、自宅のCOREGAの無線LANのアクセスポイントはなんの支障もなく繋がるので性質が悪いのである。
 
ということで、2〜3日悪戦苦闘したが、2年縛りも切れて解約料もかからないのを幸い、回線を解約。いずれ光ポータブルの端末も返却することになるだろう。
 
機種変更の際には、いろいろなトラブルがあるものだが、なんとも理由がわからないまま解約したので少々すっきりとはしないのだが、Webで調べると以前の記事なのだがBuffaloのルータと相性が悪いようなことが書いていあるので、そんなところかもしれない。
 
ちなみにイーモバの解約はサポートに連絡すると解約理由を訪ねられることなく手続きでき、良心的でありました。

2013年7月2日火曜日

「ひきこもり」という不思議なアームチェアディクテティブの形

覆面作家で性別すらも明らかでない坂木 司のひきこもりのプログラマー+外資系の保険会社社員のコンビのミステリー連作が「仔羊の巣」「青空の卵」「動物園の鳥」の三作。

本の帯には「ひきこもり」探偵となっているが、引き篭もっているだけでは事件の解決どころか事件に出会うことすらないわけのだが、それではミステリーが成立しないので、多くの事件がワトソン役である坂木が巻き込まれて、あるいは出くわしたトラブルを鳥井が解決していくというスタイルが主。

登場人物というかレギュラーは私的にはシリーズものになったにもかかわらずそんなに多くはいないと思うのだが、うちの奥さんにいわせると結構多いと言う。ここは人様々に取りようはあると思うのだが、リアルの知り合いの多い「ひきこもりというのも面妖な感じがするがどうだろうか。
基本的には、探偵役である鳥井とワトソン役の坂木。そしてデパートガールの巣田さんと高校の同級生で警察官の滝本と部下の小宮。目の不自由な小宮くん。不良老人っぽい木村老人と高校生の利明 、といったところが主要なキャストで、これに滝本 の知り合いのバイクライダーとかが加わる。といった形である。

収録は1巻目の「青空の卵」 が「夏の終わりの三重奏」「秋の足音」「冬の贈りもの」「春の子供」「初夏のひよこ」、2巻目の「仔羊の巣」が「野生のチェシャ・キャット」「銀貨鉄道を待ちながら」「カキの中のサンタクロース」、3巻目の「動物園の鳥」は動物園を舞台にした中篇、となっている

それぞれの話のレビューは、また別のエントリーに譲りたいのだが、基本としては、どの話も、傷を負った人が、鳥井の推理により事件が解決するに応じて、傷口を塞ぎ、新しい一歩を踏み出すといったのが基本スタイルなのだが、傷口を治癒して、という形でなく、あくまでも血はまだ滲み出しているが当座塞いで、という形をとっているのが通例。
で、もっと言えば、傷口をもっとも塞いで新たな出発をしなければいけなかったのは、実は「ひきこもりの鳥井」ではなくて「ひきこもりの鳥井に全面的に関わっている(あるいは依存している)坂木」であったことが物語が1巻目から2巻目、3巻目と進展していくにつれ明らかになってきているのではなかろうか。
その意味で、このシリーズは「鳥井」が主人公ではなく、古くからの友人の事件に閉じ込められてしまった「ぼく」=「坂木」を解放する物語といっていいような気がする。できうれば、三作連続して呼んだほうがいいよ、お勧めしておこう。