2006年6月11日日曜日

鯨統一郎「新・世界の七不思議」(創元推理文庫)

バーテンダー松永のバーで繰り広げられる、大学で世界史を専攻している早乙女静香と、民間の与太話的歴史の謎解明を行う雑誌ライター 宮田六郎との、歴史バトル第2弾である。


収録は「アトランティス大陸の不思議」「ストーンヘンジの不思議」「ピラミッドの不思議」「ノアの方船の不思議」「始皇帝の不思議」「ナスカの地上絵の不思議」「モアイ像の不思議」の7篇。

どちらかといえば、日本歴史やアジア歴史の謎対決が多かった、前作に比べ、今回は、とんでもなくグローバルになっている。


しかも、今回のバトルの証人となるのも話がグローバルになったにふさわしく、アメリカはペンシルバニア大学の教授で古代歴史学の権威 ジョゼフ。ハートマン教授である。

で、この教授の前で、早乙女静香と宮田六郎の歴史謎解きバトルが始まるのだが・・・案の定、宮田の推理はキテレツである。

まずは、「アトランティスの謎」。

アトランティスが南極ではないかという話やサントリーニ島ではないか、といったよくある話が紹介されるのだが、宮田の出した結論は、「アトランティスは実在の島や大陸ではなくて、プラトンの師 ソクラテスをなぞらえたものだった」というもの



「ピラミッドの謎」では、昔は王の墓という説が主流だったが、実は大ピラミッド内部の王の間には石棺があるが、その中には王のミイラは入っていない。

どころか、今まで見付かった王のミイラで、ピラミッド内で発見されたものはない、といったエピソードや、ピラミッドはファラオとラーの合体装置だった、といった静香説が紹介された後、宮田説は、なんと・・・ピラミッドはナイル川の氾濫を制御するための「山」の象徴。
で、エジプトのあの世の思想が東洋に伝わり、ナイル川=三途の川になり、ピラミッドは・・・盛り塩になった、

てな説が展開されちゃうんである。

ちょっと、かなりネタばれをしてしまったので、これから読む人には御容赦いただきたいのだが、まあ、こんな奇妙キテレツな説が、全編にわたって展開されてしまう。

おまけに、話の本筋とちょっとはずれたところにでてくる、ちょっとした歴史的小片みたいなのもgood
でも、世田谷区代田が「ダイダラボッチ」に語源をもつ

とか

「平安京」は明治時代まで続いていた

とか

日本の神社の狛犬はエジプトのスフィンクスが伝播したもの
などなど。

まずは御一読あれ。あはは、と笑いながら歴史の隠された秘密に触れたような気がして楽しくなってしまうこと請け合いである。

0 件のコメント:

コメントを投稿