珍しく、古生物学の本を読んだ。
古生物といっても、恐竜とかマンモスとか剣齒虎といったメジャーで人気のあるものではなく、もっと昔、 カンブリア紀 である。
私が、まだ若い頃は、カンブリア紀といえば、茫漠とした太古の時代で、三葉虫が主役。そんな虫みたいなわらじみたいなのが、泥の中や海底の砂の上を這い回ったり、潜り込んだりしている、妙に平和な時代と教えられていたように思う。
ところが、カナダのバージェス頁岩や中国の澄江とか、グリーンランドのシリウス・パセットとかの発掘が進むに従って、捕食動物、もっと平たく言うと肉食動物というか肉食の生き物が出現し、食われる方の生き物も硬い殻をつけたりして防御にいそしみはじめた時代で、のどかどころではなかったようだ。
しかも、「カンブリアの大爆発」といわれるように生命の形態のとんでもなくたくさんの姿が、まるで実験室かアイデアのブレーンストーミングのように出現した、なんとも賑やかな時代だったらしい。
これは、本書の口絵をみるだけでもよくわかる。(というか口絵を見て、あやしげな進化モノかと思って読んだら、真面目な古生物学の本であった。)
紐で編んだ筒みたいな格好をしている「ヴォーキシア」
三葉虫に5つの目をつけて、象の鼻のような触手をつけた「オパピビア」
二枚貝とイカを合体したような「オダライア」
そして、カンブリア紀の怪物。大きな葉っぱに、デカイエビの頭のような顔と二本の角みたいなカギ爪をつけたアノマロカリス
(アノマロカリスの画像をググッたら、かなりの数がヒットした。なかには、萌え系のアノマロカリスもあったぞ。なんか勘違いしてないか・・・)
などなど
しかし、子供がもし、こんな動物を書いていたら、「もっと真面目に考えなさい」と言いそうな生き物ばかりだが、こうした奇想のデパートみたいな生き物群も、収斂するというか、一定のデザインに落ち着いていたのだろう、こうした奇妙な生き物を見かけることはない。
本書の最後の方に書いてあるように、生き物のデザインは限られるというか、ほぼ、同じパターンが繰り返されることはよくあるようだ。
哺乳類の剣歯トラと有袋類の剣歯ネコ(ネコとはいってもカンガルーやオポッサムの仲間らしいが)
イクチオサウルスなどの魚竜と哺乳類のイルカ
そういえば、生き物は、何度もプロトタイプというか、試作品を重ねて完成品になっていく。
たった一種類、先行するプロトタイプもなしに生まれたのが人類。
もしかしたら人類は、きたるべき生き物のプロトタイプか・・・といったSFもあったような。
人が生き物として試作品かどうかは別として、子供の頃の奇想が、いつしか平凡なものに修練していくのも、こうした生き物の法則なのだろうか。また、どんな大人も子供の頃は同じような夢をもつのも生き物の法則なのだろうか・・・
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