2005年12月7日水曜日

下川裕治ほか 「アジア大バザール」(講談社文庫)

アジアといっても様々な地域があり、旅をする人によって、あるいは会う人によって、アジアのせる顔はさまざま。甘かったり、しょっぱかったり。そんな気持ちで、「下川裕治ほか 「アジア大バザール」(講談社文庫)」を読む。

アジアの旅行記のアンソロジーである
収録は「アジアの魂・コックスバザールへ(下川裕治)」「マニラの鼠(浜なつ子)」「パリの近藤紘一(神田憲行)」「隣国再訪(素樹文生)」「ラクシュミーが宿る家(西岡直樹)」「十歳の花嫁、ナスパー(森川庚一)」「竹富島ブラック&ブルー(戸澤裕司)」「イエメン物語(阿部稔哉)「食は広州にあった(岸本葉子)」「モンゴルのバックパッカー(駒村尚三)」「海の上の熱帯雨林・スラバヤ~マカッサルへの旅(門田 修)」「ぼくたちの沖縄~どんととの約束(篠原 章)」「チャンプルーの真実(中村清司)」「まんぷくアジアノート(浜井幸子)」「アジア医者出世(田中維佳)」「なんてことしてくれるんだ南アジア(宮田珠己)」「極東アジア北海道からガラナ・排雪・ジンギスカン(大倉 直)」「バンコク・バルゴワ散歩(山田 均)」「すったもんだの雲南国境紀行(石川 清)」「東京で遊ぶアジア(春田 実)」の21編。

とりあげられている国はバングラデシュ、タイ、フィリピン、韓国、ベトナム、インド、イエメン、中国・・・・、書いている人も下川裕治、浜なつ子、岸本葉子など旅本作家の有名どころばかり。まさしくアジア旅行記の大バザール状態の本である。

そして、書き手が様々であるのと同じく、アジアの国も様々である。

日本への屈折した思いを抱えながら日本人の青年とナンパをする韓国の青年から持参金を出さないことを条件に口減らしのように嫁に出される12歳の東ベンガルの少女。

青唐辛子のペーストの砂まじりのロティしかないベンガルからタイ・ベトナムの涎のでそうな屋台の料理や実は炒める素材のバリエーションの違いでしかないチャンプルー料理

しかもこの大バザールには、沖縄と北海道もちゃんと入っているのが嬉しい。どうかするとアジアといいながら、日本にことはなにか別世界のように扱う旅本もあるのに、「どう着飾ったって、あんたはアジア人よ」とばかりに、アジアの一世界として日本を扱っているこの本の態度は好ましい。

この本にはアジアがある。豊かなアジアから貧しいアジアまで、愉快なアジアから哀しいアジアまで。まるごとアジアだ・・・

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