2005年12月11日日曜日

下川裕治 「アジアの困ったちゃん」(徳間文庫)

アジアのちよっと愉快な人たちの話にふれたくて、下川裕治さんの「アジアの困ったちゃん」を開く。

タイのパッポンで女装して客引きして家族を養っている男(この人オカマではないらしい。しかも本物のオカマとの競争に負けてこの商売から撤退するらしい)や観光客のテーブルのそばに立って、客が食べ飽きたとみると早速手を伸ばしてくる上海のホームレス。自動車教習所の車を停めて近くまで乗せろという沖縄のアバアや信号にかまわず横断する台湾のオバア などなど

いろんな「困ったちゃん」というか、かなりずうずうしい、こりない面々がいるものである。しかし、こうしたずうずうしさが、人間関係の暖かさに繋がってしまっているのがアジアの複雑さか。
筆者の娘さんが保育園に通っていた頃、フィリピンの子供がいて遠足に大きなリュックをもってくる。中には数十個のおにぎりとたくさんのおかず。お母さんが皆で食べろ、と持たせたらしい、といった話には、血縁の家族と隣人の区分けが明確でない、近くに住んでいる人は皆兄弟、といったアジアの地縁社会が窺える。

おそらくアメリカナイズされたビジネスライクの人間関係ではでてこない話が多数。

きっと日本人の男でタイやフィリピンに沈没してしまうのは、こうした地縁の暖かさに溺れてしまうからだろう。

日本人は別格とかいうとそうではない。
第2章では、タイ人に翻弄されたり、翻弄したりしている日本人の人生相談が満載。日本人も十分「アジアの困ったちゃん」なのだ。

バンコクをはじめとするアジアの人や日本人のいろいろな人間模様を楽しみたい人向けの一冊。

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