場所はとりあえず、タイのバンコクにしようかなー。
となれば、やはり下川裕治さんのバンコク本。
今回は、まず「バンコクに惑う」(双葉文庫)をチョイス。
バンコクと聞くと、ねっとりとまとわりつく暑さを連想してしまう。タイには今まで縁がなくて、一度もいったことがないのだが、なぜかインドなどと違って、優しい暑さの中で昼酒を飲んで汗をかきながら、ウトウトしている感じを連想する。
そんなバンコクの暮らしのTipsが描かれているのが、この一冊。
なぜ日本人や欧米人は、交通は混雑しているしごみごみしているバンコクに長期滞在、貧乏旅行者風にいうと「沈没」してしまうのかがバンコクの謎の一つ。
筆者は、バンコクという社会への入りやすさ、それはバンコクの人の人懐っこさと無関心さが、北のタイトな社会に疲れた人に心地よいのかと答えを出しているが、それは、かって金子光晴の時代の「上海」が果たしていた役割を、今では「バンコク」が果たしているということなのだろう。しかも、「くたびれた日常」に疲れた中年のオヤジだけでなく、若い男性もタイの女性の底抜けの明るさやのん気さに惚れ込み、女性は女性でタイの男性の優しさに惹かれる人が増えているらしい。
日本という「北」の文明の支配された国がもつ息苦しさから逃れてたがっている人が増えているということか。日本人は「北」に象徴される「文明」には向かないのだろうか?
といった「謎」の解決は、頭の隅っこにおいて置きながら、この本で語られるバンコクのいろんなあれこれを単純に楽しむのが、こうした旅行本の楽しみ方の一つ。
しかし、どうやら、バンコクも筆者が好んで溺れていた時代から、ゆっくりと「北」の文明へと変わっていっているような印象を受ける。
交通渋滞を解決するための電車の架線工事がかえって渋滞を悪化させたり、バイクのヘルメット着用を強化したが必要な数にヘルメットが足りなくて法律の実効を延期したりする政府のいいかげんさといったことは変わっていないのだが、辛いものがたべられなくなっているタイ人が出現したり、賃金が高くなって外国企業が撤退したり、交渉ごとで料金が決まっていたタクシーに料金メーターがついたり・・。
楽園もいつまでも楽園ではない、ということか
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