2005年12月8日木曜日

星野知子 「トイレのない旅」

実際の旅は1992年頃の星野知子さんの旅本

赴くところは、ペルー、シベリア、中国雲南省

美人の女優さんに似合わず行く場所は、かなりハードである。

おまけに、ペルーは日本人殺害などテロが頻発している時期だし、シベリアはペレストロイカの失敗が、見えかけた時期で物資などが不足しがちの上に社会主義特有の無愛想さが健在な頃。雲南省は政情不安とはいえないが、世界になだたる田舎である。

とはいいながら、かなり楽しく旅をしてしまうのが、この人の特技だろうか?

ペルーでは現地の風呂に入ったり、クイといった野ねずみを食べて結構旨いと感じたり、シベリアではツンドラの永久凍土の上で鮭料理をふるまったり、同行のロシア人の幼い娘たちと野いちごつみをしたり、

雲南省ではトンパ文字を現地の学者っぽい人に教えてもらうかたわら結婚式にまぎれこんだり・・・

旅する国は多くはないが、心豊かな気持ちになる旅行記である。

文中から、引用をひとつ。

心中を美化するのは日本人と雲南省の納西族だけらしい。納西族は革命以前は恋愛は自由だが、結婚は親が決めたため、引き離された恋人は冬山で「赤い紐」で互いを結んで心中することがよくあったとのことだ。

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