2005年11月1日火曜日

下川裕治 「アジア漂流紀行」(徳間文庫)

「味わい深いアジアン・ホテル」「アジア バス事情」「アジア・ディープ・ウオッチ」「アジア鍋行脚」「アジア屋台めぐり」「アジア駅弁事情」の7篇。

「味わい深いアジアン・ホテル」では、年齢から、いわゆるバップパッカー専門の安宿から、街中の中流ホテルへ泊まるところを格上げせざるをえなかった(といっても、10米$から20~30米$へあがった程度だが)筆者が、アジアのホテルについて語る。といっても、部屋着とパジャマの区別のないアジアの宿泊客(といっても最近は、ホテルの部屋やその近辺をスェットですます人も多いから、日本も一緒だよね)やホテルの部屋が自分の部屋と同じになりがちなホテルの従業員のおばちゃんたちなどたわいのないお話が語られる。

人が乗ればバス、荷物が載ればトラックというアジアのトラックバスやバスや列車のチケットの購入が一日の一台仕事となってしまうバックパッカーの暇さ加減とチケット入手の劣悪さ(アジアバス事情)

日本の若い人は怠け者で勉強しないから使えないという不法滞在のアジア人の雇われ店長、夕日が嫌いなビルマ人、飲茶を忙しく食べながら、同時に忙しく商談する香港人、一見、のんびりそうに見えて激すると、とことんまでいってしまうタイ人など、いろんなアジア人の横顔(アジア・ディープ・ウォッチ)

アジアの共通の料理方法といってもよい鍋料理。最初は韓国のふぐ、ラーメンチゲから始まり、中国のウィグルで鍋料理をぼられたり、香港で、食べ方がわからず、屋台のおばちゃにレクチャーを受けたり、(アジア鍋行脚)、この手のバックパッカーものでは珍しくけして上等とはいえないアジアの酒の話が語られる(アジアの酒行脚)。

やはり圧巻は食べ物の話。さすがに東南アジアにどっぷりとつかていた筆者なので、屋台の料理にかけるウンチクはすごい。ほかの屋台からの持ち込みも自由で、おまけにいろんな種類の屋台があるから、朝飯から晩飯まで、どころか、おやつまで対応可能な屋台にかける筆者の愛情はただものではない。おまけにここで語られる麺は言うに及ばずパンにいたるまでの食べ物はやけに旨そうだし(アジア屋台事情)、引き続く、駅弁の話もgood。
丼をそのまま届けてくれるベトナムや、カップラーメンと魚肉ソーセージがセットになっている中国のお手軽駅弁。英国風がそのまま生きづくインドの長距離列車の食堂車配達の豪華カレー弁当など(アジア駅弁行脚)。

旅本の醍醐味は、ちょっと変わった風習と食べ物だよなーとあらためて思う一冊。

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