2005年11月27日日曜日

山田真哉「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」(光文社新書)

会計士で、「女子大生会計士の事件簿」の作者でもある山田真哉氏の、「やさしい」会計学の本。

筆者は「本当の会計学入門書をつくるために会計の常識からいったん離れよう」との決意でこの本を始める。こうした意気込みで始まる入門書、特に会計とか法律の入門書は、やさしいものであった例がないのだが、この本は結構サクサクと読めた。


興味をひくエピソードに沿って会計学の知識が学べる本である。会計の常識から離れた会計学入門書というのは偽りないと思う。
(何度も簿記や会計学を投げ出した私が、そう感じるのだから間違いない)

エピソードは
 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」
 「ベッドタウンに高級フランス店の謎」
 「在庫だらけの自然食品店」
 「完売したのに怒られた」
 「トップを逃して満足するギャンブラー」
 「あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか」
 「数字に弱くても「数字のセンス」があればいい」
の7つ

それぞれのエピソードを少し紹介すると

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」は、誰も買うところ見たところがない「さおだけ屋」がなぜ潰れないで営業を続けられているのか、という疑問から、さおだけ屋のさおだけの単価が高かったり、金物屋の副業が多いといった話から、会社の利益の出すには売り上げを伸ばすより節約が大事といった話が語られ


「ベッドタウンの高級フランス店の謎」では、レストランの意外な副業から、企業の連結経営とローリスク・ハイリターンの副業の法則の話

「完売したのに怒られた」では、人気の弁当を早々と完売し得意満面の担当者が、社長に完売したところで追加注文せず売り上げをさらに伸ばすチャンスを失ったと怒鳴られる「チャンスロス、チャンスゲイン」の話

「あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか」では、カードを利用したキャッシュフローや1円にこだわらず家計(会計)のおっざっぱなポイントをつかむことが大事なこと、会計士は1円単位にこだわらないといった話

が語られる。
肩がこらずに読める会計本ではある。

ところで、こうした会計本の筆者なら、他の本も面白いかもと思って「女子大生会計士の事件簿」を買ってしまった。これは、筆者のいう、本業と関連した副業をやれ、といった連結経営策に乗ってしまったということなのかな・・・。

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