その間の旅である。場所は「パリ」。
インドのカルカッタで下痢に襲われ、自分のまわりにまとわりつくようなアジアから逃れたくて、アジアから最も遠いところへと逃れていくのがきっかけである。
距離としての遠さではなく、アジアの対極としての「パリ」である。
旅行記を読んでいて、思うのが、アジアとヨーロッパを旅する人の違いである。
それは旅をする人が違うという意味ではなく、同じ人が旅しても、何か読んだ感触が違うのである。
感覚的にいえば、アジアの旅行記は、ちょっと埃っぽい日向水のような感じを受けるに対して、ヨーロッパ、特にパリの旅行記は、早朝の冷気で冷えたミネラルウウォーターの感じである。これは同じ西欧でも南欧やアメリカとも違う、西ヨーロッパの旅行記で受ける印象である。
これは、この本でも同様である。パリで元気に生きている日本人も多く登場するのだが、
なぜか、「緊張感」が漂うし、筆者の文体もなにか「緊張」している。
こうした、どうにもヨーロッパというものにシンクロできない、なにかしら違和を抱いてしまう感じは私だけだろうか。ま、私のことはさておき、アジアン・ジャパニーズの1巻と同じように、パリで暮らし、パリで一旗あげようとしている人たちのインタビューが続けられる。そして、それに疲れたかのように、筆者は、またアジアに帰る。
アジアの対極へ行き、再びアジアへ舞い戻る話である。「なつかしきわが故郷」といったところか
0 件のコメント:
コメントを投稿