2005年11月27日日曜日

宮部みゆき「心とろかすような マサの事件簿」(創元推理文庫)

「パーフェクトブルー」で大活躍した、元警察犬マサの短編集。

収録は「心とろかすような」「てのひらの森の下で」「白い騎士は歌う」「マサ、留守番する」「マサの弁明」

蓮見探偵事務所の調査員で所長の娘のボディガード、元警察犬のマサの視点から書かれたミステリーの掌編。マサの語り口が、また良いのですねー。そして、マサの目にうつる、所長の娘、加代ちゃんが、また一本気でかわいらしい。「パーフェクトブルー」を読んでなくて、こっちから読み始めても「好」な短編集である。

ネタを全部書いてしまうといけないので、それぞれの短編のさわりだけ、

「心とろかすような」では、諸岡進也と所長の次女、糸ちゃんが二人で朝帰り・・・?という疑いをもたれるところから始まる。なんと二人は、朝早く、ラブホテルから二人ででてくるのを発見されたのだ。なんとかその疑惑を晴らそうとする加代ちゃんは、奇妙な行動をとる金持ちをみつける。その陰に子供をネタにした詐欺事件が潜んでいた・・・

「てのひらの森の下で」は、早朝のマサの散歩中に死体をみつけた加代ちゃんは、同行のジョギングをしている女性と警察に知らせに走るが、その死体は、実は偽装。逃走しようとする死体を追いかけようとするマサは、何者かに殴られ、昏倒。なぜ、死体を偽装するといったこみいったことをする必要があったのか・・・

「白い騎士は歌う」は強盗殺人事件の犯人として指名手配されている男の姉が、その男の捜索を頼むところからスタート。その男は、非常に姉思いで殺人を起こすようなことはないと姉はいう。おまけに金にこまっていたが、何故かうれしそうに金にこまっていたらしい。彼はなぜうれしそうに借金をしていたのか・・・

「マサ、留守番する」は、台湾旅行に家族で出かけた留守を、近所の動物好きの女性と留守番することになったマサ。留守の探偵事務所に5羽のウサギが届けられる。届けてきた小学生は、学校の飼育小屋から盗んできたらしい。彼女は、飼育小屋にいれておくと数年前のように、またウサギが殺されてしまう。家で経営しているゲームセンターで、ウサギを殺す相談をしていた高校生と中学生の二人組みの話を聞いたというのだが・・・

「マサの弁明」は推理作家の宮部みゆきから、夜中に家の外を歩く足音の捜査を頼まれる。足音はするが、姿は見えないのだという。蓮見探偵事務所の加代ちゃんは、その捜査に乗り出し、謎は比較的簡単に解けるが、その陰で、推理作家の子供の頃の事件の記憶がよみがえる。

といったような話。答えを知りたい人は、どうぞご一読を。宮部ワールドが堪能できます。

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