2005年11月11日金曜日

下川裕治 「アジア極楽旅行」(徳間文庫)

「アジアの旅の十二カ条」「アジアと日本の新しい関係」「日本と関わるアジア人物語」「激揺するアジア」の4章。


アジアの旅の12か条、当然バックパッカーを中心とした貧乏旅行の心得だが

・ホテルではウンコをしない(ホテル内だけの水洗なので逆流したり、あふれたり・・・)
・駅前ティッシュを持参する・・紙で尻を拭く文化になれていない(手と水で処理)ので紙がなかったり、あっても紙が硬かったり。

・$の現金をもっていく・・・貧乏旅行者が出入りするようなところでは、トラベラーズチェックやクレジットカードは使えない。もう一つはヤミ両替は現金でないとダメなこと
・貧乏旅行者は女(男)を買わない・・・ことに及ぶ時、貴重品(金、パスポートなど)の置き場に困る
・車の免許をもたない・・アジアの車の整備状況、故障の多さ、交通事情の悪さを考えると最初から免許をもたない方が悩まない
・アジアではすべての動力車がタクシーである・・・アジアではエンジンのついている車はすべてタクシーになる。バスや乗用車だけでなく、トラックもなるし、バイクだって立派なタクシーに変貌。おまけに営業をはじめるのに、車以外の資本は必要ないから、誰でも始められる商売。
・中国人は寒さにめちゃめちゃ強い(雪の積もった道端でも寝られるぐらいだそうだ。おかげで、かなり高級なホテルでも暖房が入らないことになり、ヤワな日本人は凍えてしまうことになる)

などなどが披露されている。中には「アジアでは喫煙者の人権はない」など、いつの間にか、日本でも同じような状態になっていることもあり、時代の変化を感じさせられるが、貧乏旅行の姿を垣間見る思いがする。

「アジアと日本の新しい関係」では、日本の風習や物とアジアとの微妙な関係が語られる。日本のペイントのまま走っているラングーンの中古バスや、タイの鍋料理(いわゆるタイスキ)や香港の鍋料理にも卵がいれられようになったことや中国ではカップヌードルと魚肉ソーセージが定番のセットになっていることなど。また、トイレットペーパーの三角折は、出稼ぎにきていた東南アジアの女性が広めたのでは、といった話まで広がる。日本もアジアの一部分であることを痛感させられる。
また「日本と関わるアジア人の物語」では、日本に留学しながらビルマへ帰国せざるをえなかった青年や、出稼ぎ先の日本のタイ人スナックでエイズにかかってしまったタイ人青年の話など、少しゆがんだ形で構築されていた日本とアジア。そして、最後の章「激揺するアジア」ではそうしたこと無視するかのように、おおきく変わっていくアジア、経済発展が人々の暮らしを飲み込んでいく上海と中国本土へ返還される香港。また、大国中国とベトナムの間で、行き方の定まらないビルマとカンボジアの姿が描かれる。

バブル崩壊後、アジア経済の羅針盤は日本だけではなくなって久しいが、アジアはいやおうなしに変化していっていることを感じさせられる。

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