どうも母親は若い頃に、その相場師の命を救ったことがあり、そのお礼らしいのだが、相続が表にでると、近所や同級生の態度がかわり、見ず知らずの人からの嫌がらせの嵐。おまけに、その相場師とかあさんができていたんじゃやないかと邪推して、とうさんは家を出てしまう始末(父親は結構浮気っぽくて、そのときに女がいるのだから、仮に邪推が本当でもどっちもどっちなのだが)
壊れてしまいそうな家族を守るため、僕は、親友の島崎(とんでもなく将棋が強いらしい。これは、今回の話では何の伏線でもありません)と、相場師が母親に遺産を残した真相をさぐるため、調査にのりだす。
二人は、両親の若い頃からの足取りをたどり、関東地方のあちこちを調べるが、有力なてがかりはでてこない。そのうち、嫌がらせの電話に閉口して一旦転居することにするが、偽装誘拐時間に巻き込まれ・・・、といった話。
殺人事件はおきるわけではないので、そうした謎解きを期待して読むとあてがはずれる。
途中ででてくる、タレントと大金持ちの娘の宝石(ポセイドンの恩寵)の争奪戦が意外な伏線。
僕と島崎のやりとりや、父親の浮気相手が実は金目当てだったり、別荘では、ちょっとしたカワイイ子を見つけてときめいてしまったり、筋とは関係ないところでも小味がきいていいて楽しめる。
結局は、死んだ相場師が、企んでいた死後の謀略の一つの駒に、この家族がつかわれていたってことだけ(筆者は、ビリヤードのクッションという絶妙な表現をしてますな)か?
と思ってると、最後に、もう一ひねり。あっと巴投げをくらう。
年を経ると猫も化けるが、女も化ける、ということか。旦那さんの浮気に悩む奥さん、必読の書。もっとも、このトリック、誰でも使えるっていうほど簡単ではないが・・・
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