2005年11月18日金曜日

「ナンバーワン企業の法則 勝者が選んだポジショニング」(日経ビジネス文庫)

すべての分野で価値を収める企業はないという前提から、いままでナンバーワンという呼称のもとにひとからげに扱われていたさまざまな市場を支配していたリーダー企業を

・オペレーショナル・エクセレンスを目指す企業
・製品リーダーを目指す企業
・カスタマー・インテマシーを目指す企業

の3つに分類し、それぞれの企業の行動原理や価値基準を分析して、勝ち残っていく企業のあり方を提示している。
「オペレーショナル・エクセレンス」とは、経営実務面での卓越性を持っている企業、市場で平均的な製品を最良の価格で、面倒が最も少なくなる形で提供する企業。価値基準の提示は低価格で面倒のいらないサービスの提供に優位性のある企業

「製品リーダー」とは性能の限界をとことんまで追求した製品を提供することに優位性のある企業

カスタマー・インテマシーとは、特定の顧客に対して最高の結果、価値を提供することに優位性のある企業である。

本書では、ナンバーワンとなろうとする企業は、これら全ての分野に秀でた企業になることは不可能であり、それぞれの企業がもっとも適している企業のあり方を模索すべきだとしている。

そして、それぞれ、目指す企業のあり方によって、重要視される価値観も違うし、社員の育て方も違うことを、様々な企業の実例をあげて解説している。

しかも、目指すべき企業は市場の性格が刻一刻変化しているから、昨日と同じような企業理念が今日も通用するとは限らない。例えば、顧客が初心者から専門家に変化していたパソコン市場の変化を読み違えて、低迷を余儀なくされていた巨像IBMの、それにあたるだろう。
企業がマーケットリーダーになるための条件は、本書によれば
 すべての顧客に尽くせないなら、どのような顧客に尽くすのかを明確にすること
 そして、選んだ顧客に、ライバル企業より優れた独自の価値を継続してもたらすか
であり、マーケットリーダーになった企業が転落を招く最大の誘惑は、成功から甘い汁を吸うこと、そして前進しないこと、しかも、カスタマーインテマシー企業と製品リーダー企業、アペレーションsクセレンス企業では、採るべき方策も転落する誘惑も全く違うことが主張されている。

一般的なビジネス書では、企業が成功するための条件、成功するための社員教育、成功するための業務革新の方策が、どの企業にも通用する処方箋のように説かれることが多いのだが、本書のように、目指す企業の姿によって全く違うのだ、という説は新鮮。

また、「企業」を「個人」に置き換えて読んでも、面白い。

「あなたは、どんな個人(企業)を目指しますか?、どんな顧客に、どんな方法で価値をもたらしますか?」と問われているように思えてくる。

0 件のコメント:

コメントを投稿