2011年12月24日土曜日

原尻淳一・小山龍介「IDEA HACKS! 2.0」(東洋経済新報社) 読後感

2006年に、本書の前作である「IDEA HACKS」が刊行されてから、5年を経て、新たに出されたのが、本書「IDEA HACKS! 2.0」。

ただ、本書は、この5年間の間に筆者たちの変化、そして日本自体の不幸な出来事、さらにはIT界の巨星の死去といったことを経て、「新たなステージ」での"IDE HACK"本と考えたほうがいい。

それは、筆者たちが、「はじめに」で訴えていることでもあり、本書を読めば前著との違いが歴然とした形でわかるだろう。

この変化は、私にとって好ましい面とこそうでない面と両面を示していて、内心複雑な心境である。

好ましいのは、筆者たちも言っているように、HACKの<技術>に偏りがちで、どことなく<中央>にいない人間のことは知ったこっちゃない、といった金属質の臭いが薄くなっていること。齢を重ねると<テクニック><技術>ではどうしようもなくて、<心意気><意気地>といったことで解決できることの多さがわかってきて、その意味で、<テクニック至上主義><技術至上主義>からの脱却は好ましい。

一方で、技術的、テクニック的な側面が手薄になっていないか、といった懸念がある。たしかに、HACKの技術があらゆる場面で紹介され始め、新奇なものは層が薄くなっているのはわかるのだが、やはりそれを乗り越えて、尖ったものを提案することが、"HACKS"の真骨頂と思えるのだが・・・



まあ、なにはともあれ、熟練の書き手によるものらしく、よくまとまったHACK本であることは間違いない。特に前著の「IDEA HACKS!」から数年たち、ITのサービスもかなり進化してきている。そうしたもののフォローの意味でも、一読しておいて損はない。

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