2011年12月30日金曜日

畑村洋太郎「回復力ー失敗からの復活」(講談社現代新書) 読後感

失敗学の創始者である畑村氏が、「失敗」からどう立ち直るか、ということについて書いたのが本書。大学教員時代に、教え子の自死に遭遇したり、氏自身が鬱の状態になったこともあり、「失敗」について、優しいのが好ましい。


少しばかり、中身について言うと、氏が、本書の中で、「失敗で潰れない」として紹介しているのが


「逃げる」「他人のせいにする」「おいしいいものを食べる」「お酒を飲む」「眠る」「気晴らしをする」「愚痴をいう」


という7つ。


一見すると、かなりネガティブであったり、道徳の教科書だったら噴飯物といったところもあるのだが、そこは理屈や修身の世界でどうこう、というより、「失敗」からどう立ち直り、ポジションの回復を図っていくかという視点からの本なので、目くじらをたてるべきでないし、また有効な手法でもある。


「失敗」をしている状態というのは「エネルギーが漏れてしまっている状態」であるから、その漏れをどう塞ぎ、失われたエネルギーをどう充填していくか、というのが「回復力」の根幹というのが、本書の主張であると思え、そういう視点で「失敗からの回復」をとらえるのは、結構斬新で、テクニカルな視点で「失敗」をとらえることができ、クールでいい。



「失敗」は何か事を起こそうとすれば付き物であるし、普通にしていても、向こうからやってくることもある。大抵のことにはメゲずに生きたいと思っている人に勧めたい一冊。

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