2011年5月29日日曜日

松平定知 「歴史を「本当に」動かした戦国武将」(小学館101新書)

NHKの元アナウンサーで、「その時、歴史は動いた」などの歴史もので有名な松平さんの戦国物。実は、松平さんが、黒田如水のファンだったとは、この本で初めて知った。

で、この本、戦国のナンバー1ではなく彼らを支え、いや彼らの今の名声を作り出したといっていいナンバー2たちを集めた歴史評論である。

構成は

序章 歴史の陰には必ず「ナンバー2」がいた

第1章 黒田官兵衛に学ぶ「読心力」

第2章 直江兼続に学ぶ「直言力」

第3章 石田三成に学ぶ「構想実行力」

第4章 本田忠勝に学ぶ「市場開拓力」

第5章 片倉小十郎に学ぶ「プレゼンテーション力」

第6章 藤堂高虎に学ぶ「転職力」

第7章 細川幽斎に学ぶ「一芸力」

となっていて、登場人物は多彩であるが、まあ、有り体にいえば、大河ドラマの主人公ではなくて、重要な脇役たちの塊である。
しかし、この脇役たちが、主人公たちが私とはどこか別世界の人物であるに対し、彼らが、自分に共感でき、自分の人生を切り開いていく道標として意識されるのは私だけだろうか。
(なんとなく、ツヴァイクの描く「星の時間」の主人公たちを思い浮かべるよね)



まあ、それはそれとして、ナンバー2には2種あるように、この本を読みながら思った。
一つは、自らの才を頼みながらも天下は遠くにあり、せめて、主君を通して天下の采配をふるおうとする黒田官兵衛や藤堂高虎のタイプと主君と自らの人生を重ね合わせ、主君の興廃と自らの人生を重ね合わせていく石田三成や片倉小十郎のタイプ。
いずれを自分のロール・モデルとしていくかは、それぞれのお好みなのだが、ナンバーワンの強さとアクの強さを持たない多くのビジネスマンは、こうしたナンバー2の生き方を研究してみても損はないようの思う。

細かなエピソードやTipsは、また個々にエントリーすることとして、とりあえず、藤堂高虎のこんな不遜な家訓を紹介して、ひとまず今回のレビューは終わりとしよう。

「数年、昼夜一生懸命働いても、その功績にきづかない主人ならば、譜代といっても暇をとるべきだ。うつらうつらして時間ばかりたって、意味がない。しかし、情け深くしっかりと判断できる主人ならば、肩にすそを結んでも留まるべきだ。」

どうやら、正規兵にしろ傭兵にしろ、己を評価してくれるかどうかに忠誠の度合いはかかっているようでありますな。

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