2011年4月30日土曜日

成毛 眞 「本は10冊同時に読め!」(知的生き方文庫)

読書術の本と思って読むと、ちょっと火傷する。
どちらかというと、「凡」から脱するために如何に大量の書物を読むべきか、また読むべきだとアジテートする本である。

いわく

日本の成果主義はアメリカと違って成果を挙げれば青天井の給料がもらえるというものではなく、他の社員よりほんの少し待遇がよくなるだけだ。そんなことに一喜一憂しているぐらいなら、読書の合間に仕事をするぐらいでちょうどいい

だとか

思考力も想像力も決断力も、柔軟性も将来性もすべて読書によって養われる。それを知っている人は、すでに普通の人の何十倍もの本を読み、どんどん先を歩いているだろう

など、この人独特の煽り方で、読書の必要性と(人とは違う人生を歩むための)有効性を訴えてくるのが本書でもある。

「でも」と書いたのは、当然それだけではなくて、


クリエイティブな仕事をしている人たちは、仕事のオンやオフという概念とは無縁である。9時から5時まで働いて、一歩会社の外に出たら仕事を忘れるような切替はできないし、してはならない。遊んでいる最中でも、頭のどこかで仕事について考えており、鵜の目鷹の目でつねに「何か面白いことないかな」と探すようにしていなければ、新しいアイデアのタネなど拾えない。面白いものを発見できるチャンスを逃してしまうだろう。

クリエイティブな人は、いわば採取民族である。ダラダラと森の中を歩き回りながら、おいしそうな木の実はないかとあたりを見渡すことも欠かさない。ふだんはスイッチを切ったようにじっとしているが、いざ獲物を見つけるとわき目もふらず猛突進する狩猟民族とは違うのだ

といったアグレッシブに歩んでいくための数々の蘊蓄も傾けている。

まあ、こうした氏独特のアジテートになじめなくても、最終章のオススメの本は参考にしていい。

さて、本を鳥瞰するために目次の紹介をして、このレビューは終わりとしよう。

はじめにー人生に効く「超並列」読書法

第1章 仕事も生活も劇的に変わる!

「速読」かつ「多読」の読書術
「超並列」読書術とは何か?
なぜ1日に何冊もの本に目を通すのか?
本は最後まで読む必要はない
「クリエイティブ・クラス」になる読書術
本当のようなウソー情報への判断力はここで磨く
すき間時間ーだから「速く・深く・多く」」読める
地頭がいいい人、悪い人
一目置かれる人のものの考え方
一流の経営者は、みんなすごい量の本を読んでいる

第2章 一生を楽しみつくす読書術 人生は読書でもっともっと面白くなる!

「生きた証」を残せなければアリと変わらない
人生は遊ぶためにあり、仕事も道楽の一つである
女王アリの読む本、働きアリの読む本
まずは「成功本」を捨てよ
本を読まない人間はサルである
本嫌いの人とつき合う必要はない
こんな「頭でっかち」なら将来有望
「使える金」はすべて本に注ぐ
"その他大勢"から抜け出す生き方
読書に目的を持つな

第3章 「人生を楽しむ力」と「読書量」 忙しい人ほど本を読んでいる!
「自分の価値」は読書量で決まる
真っ先に切り捨てるべき時間
「合間読み」「ながら読み」の極意
お金で時間を買う発想
「行列」と「混雑」は二大ムダ
「自分のための時間」を人に使われるな
つねに「何か「面白いことないかな」と考える
時間は増やすより「生かす」こと
「1日は40時間」と考える
一見ムダな時間、これが大切

第4章 まずは「同時に3冊」から 実践!「超並列」読書術

自分にとってのいい本を選ぶための眼
1を読んで10を知る本の選び方
私が参考にしている書評家
選択する本の幅を広げて、どんと10冊まとめ買い
いい本を見抜く目を持て
「かっこいい本棚」をつくろう
読書メモはとらない
読書を100%楽しむ法

第5章 「理屈抜きで楽しめる」読書案内 私はこんな本を読んできた!

私の生き方・考え方を変えた本(少年~青年時代編)
私がもっとも感化された本(社会人編)
若いときは「仮説力を鍛える本」を読もう
35歳を超えたら「遊びのノウハウ本」を読もう
日経新聞だけは丹念に読む
人生の糧になる本・ならない本
「本は捨てない、借りない、貸さない」
本は、大きな決断のときの判断材料となる

おわりにー本は「人生を楽しむ」知恵の宝庫である!


アクはあるが、読んでおいて損はない、読書論の一冊である。

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