2011年4月18日月曜日

藤原緋沙子 「藍染袴お匙帖 父子雲」(双葉文庫)

おなじみになってきた藍染橋の袂の治療院の千鶴先生の捕物帖第3弾。

収録は「父子雲」「残り香」の2作。

普通なら3話程度収録されているのだが、今回は父子雲がちょっと長いせいか2作の収録。それもそのはずで、千鶴が長崎で師事しようとしていた、シーボルトが江戸にやってくる。しかし、そのシーボルトを、同じく長崎で世話になった通詞の息子が敵とねらっている。どうやら、その通詞は、シーボルトのために刑死したようで・・・、てな感じで、千鶴の長崎時代の思い出を取り混ぜながら、父親と息子の物語が語られる。

もう一作は、千鶴の親代わりの酔楽先生にどうやら隠し子がいたようで(おっと、酔楽先生は独身だから隠し子ってのはちょっと表現が変か)、その母親と名乗る女に、酔楽はメロメロなんだが、その陰に男の姿が・・、といった筋立てで、こちらは酔楽の昔の恋を横糸にしながら、わざと騙されてやる酔楽の優しさが光る一篇。

だんだんと、千鶴先生の活躍も堂に入ってきて、縦横無尽の活躍を見せる一冊である。
とんとんと、勢いよく読める時代小説だ

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