収録されている話のほとんどが食べ物にかかわるものなのが「アジア飯店」の名に恥じない。しかも、どれもが、安くてうまそうなのだ。
インドやパキスンタンのカレー、ベトナムのホビロン、トルコの臓物スープなどなど
特に、うまそうなのは、バンコクの油ギトギトのラーメン、バーミーヤワラーと南インドの富士山カレー。富士山カレーは、イラストもそえてあり基本はベジタブルカレーなのだが、なんとも魅力あるのだ。
能天気に食べ呆けている話ばかりではない。生活のために娘を売りに出さなければならないタイのアカ族の話もある。娘を売りに出す日、「明日は豚が食えるよ」と筆者に伝える父親の姿は悲しいし、おそらくはフセイン以前の時代であろうイランの親子に、ぼそぼそのチキンをごちそうになる話など。
基本として、筆者が20代から30代にかけて、金もなく(場合によっては、現地で旅行費用も怪しげな商売をして稼ぎながら)放浪している時で、年代的には1980年代後半の東アジア、南アジアの旅行記なので、筆者も、訪れる先の住民も貧しい。しかし、貧しいなりに、とんでもない活力にあふれていたアジアの姿が、ここにはある。
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