2005年10月24日月曜日

塩野七生 「ローマ人の物語 21 危機と克服〔上〕」(新潮文庫)

ネロが自殺した後のローマ帝国。
死後、ガルバ、オトー、ヴィテリウスと3人の公定が順番に即位するが、ガルバが6ヶ月、オトーが3ヶ月、ヴィテリウスが8ヶ月という短期間で入れ替わる。しかも、3人とも殺されるか、自殺。それでも、ローマ帝国は続いたのだから、屋台骨がしっかりしていて、民族が力を失っていない間は、少々、上がぼんくらでも大丈夫という実証。

ガルバは、血筋は良いが、人事にしろ財務にしろ、悪いほう悪いほうへ、わざわざ梶をきっていく方向音痴

オトーは、手堅い行政官だが、大事なところでひるんでしまい、結局、角を矯めて牛を殺してしまうドジ。

ヴィテリウスは、水に落ちた犬を叩きのめしたら、後で噛み付かれて重症を負ってしまう怠惰な大食らい。

といった感じなのだが、皇帝にならなかったら、それなりにまっとうな人生をおくれたんじゃないかと思う。どこでにでもいる人間が、これといった自覚もなしにエライ人になってしまい、とんでもない目にあうお話そのまま。

この間、ユダヤの反乱とかいろいろおきているのだが、とりあえず帝国は滅びない。
この巻では、水におちた犬(ドナウ軍団)が、落ちたのをいいことに笠に着ていじめた奴(ライン軍団)に仕返しをし、親玉のヴィテリウスを殺してしまうまで。本命(ヴェシパシアヌス)は次の巻から登場。

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