といった、「はじめに」の言葉で始まる本書。
本書の言う「昭和的価値感に従わず生きる人たち」とは
・大手流通企業から外資系生保に転職、年収が2倍になった彼
・大手新聞社の文化部記者という生き方
・企業でなく、IT企業に就職したという意識を持つ男
といった形で競争社会につきあっている若者や
・赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生
・フリーター雑誌が模索する、新しい生き方
といった、競争社会に背を向ける生き方であり、ざらっとみると、いわゆる古い働き方から平成的な働き方やライフスタイルを提案する書のように見える。
しかし、「読み違い」の恐れを承知しながら、あえて言うと、本書の肝は、むしろ、そうした様々な人々の生活のスタイルのインタビュー記事の間に挟まれる「コラム」にあるのではないだろうか。
もともと、本書の最初の姿はWebちくまに「アウトサイダーズ 平成的生き方のススメ」という形で連載されてものらしいので、最初のスタイルは、インタビュー記事が中心であるのだろうが、「企業に求められる多様性とは」「21世紀の大学システム」「格差のなくし方」といったコラムが挿入されることで、違った様相を示してきている気がする。
そして、それは、いわゆる「正規職員と非正規職員の格差」や、「中高年労働者と若年労働者の配分の不均衡」への問題提起でもあり、筆者のいう「再配分の必要性」と「旧来の労働スタイルの破壊と再構築」「真性の意味での職務給の確立」といったことがその解答であるのだろう。
しかし、雑誌連載が2007年、そして本書が出たのが2008年。
その後、我々は「秋葉原通り魔事件」を経験し、リーマンショックを経験し、政権交代も経験した。
残念ながら、本書の「はじめに」の最後の部分の
「彼らはどのような壁に直面し、何を目指してレールを降りたのか。そして今後、企業や社会が目指すべき改革とはどのようなものか」
に対する答えはまだ混迷に中にあるといわざるをえない。
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