2015年6月7日日曜日

「大学を職業学校に」構想は「大学人」に支持されるのだろうか

Yahooのニュースで「大学を「職業教育学校に」・・19年度実施方針」という記事を読んだ

政府は、実践的な職業教育や技能訓練を行う高等教育機関として「職業教育学校」を設置する方針を固めた。

 高校卒業後の進学や、社会人の専門知識の習得を想定している。学校は新設せず、希望する既存の大学や短大などに職業教育学校へ転換してもらう考えだ。4日の政府の産業競争力会議(議長・安倍首相)で原案が示され、月内にまとめる成長戦略の柱とする。

 中央教育審議会で詳細を検討する。学校の種類などを定める学校教育法の改正など、必要な法整備を来年度中に行う。2019年度からの実施を目指す。

 少子化が進む中、学生の確保に苦しむ私大や短大などの選択肢として制度化する狙いもある。大学が学部の一つとして併設できるようにする。

ということらしいのだが、以前、大学関係の仕事に就いた経験でみると、大学の教員たちがどこまで支持して真剣に取り組んでくれるか、ちょっと「?」のところがあるな、と思う。
というのも、当時、大学のカリキュラムやら付随のシステムを検討していた時、職能教育とかビジネス関係の能力養成とかの課程への変更どころか追加ですら、結構な反発にあった経験があるからだ。

当時は秋田国際大とか金沢工業大とかの教育や就職教育が評判なときであったし、国立でも福井大学の就職対策が注目を集めだしていた時であったが、どうにも、「大学教員」たちの評判は芳しくなかった。

なぜかな、と考えてみて思い至ったのが、彼らの「リベラルアーツ」への信奉ではないか、ということであった。もともと大学教員自体は成績が良く、いわゆる「学力のある人」がなったもので、就職の道を歩まずに「学究」の道に入った人たちだから、「職に就く」こと自体に興味が薄いし、「研究」の方を実業の上においている。

そこに加えて「教養主義」を一とする「リベラルアーツ志向」が加われば、当然ビジネス向けの講座などへの評価は低くなるのが必然なのである。

このあたり、アメリカのように「教養」と「ビジネス」を全く別のものとしてとらえたり、ドイツのように「職業教育」への重視がある国とはちょっと違っているように思う。
そうした基礎があるところに「大学の職業学校」化がすんなり、大学側、特に教学側の協力がうまく得られるか、なかなか難しいところであるのでは、と思う次第。

個人的には「研究のための大学」と「実業を身につけるための大学」は分離していくべきであるし、多くの人は「実業を身につける大学」で事足りるのではと思っていて、政府方針に竿さう気はないのだが実効性がどうなるかな、と心配するのである。

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