2009年7月10日金曜日

勝間和代「読書進化論」(小学館新書)

カツマーと呼ばれる熱狂的ファンのいる勝間和代さんの、いわゆる「読書」についての本.

構成は

序章 成功や自由は、読書で手に入れる
第1章 人を進化させる読書がある
第2章 進化している「読む」技術
第3章 「書く」人も進化する
第4章 「売る」仕組みを進化させる
終章 これから「読みたい」「書きたい」「売りたい」と思っているみなさんへ

となっていて、前半がフォトリーデングなども含めた、いかに、より多く、より速く、そしてエッセンスをいかに掴んで「読むか」が取り上げられていて、後半は、いかに書くか、いかに本を売るためのマーケティングするかが書かれている。

で、よくある「読書論」あるいは「読書の有益さを説く本」だと思って読むと、途中からどんでん返しを食う。いや、悪い意味ではなくて、えっ、こんなことまで披瀝しちゃうの、という感じのどんでん返しである。
というのも、読む技術から、書く技術、果ては売る技術まで、あれやこれやとてんこ盛りになっているのである。


といったくだりから、あれれ、これはありきたりの本の礼賛か~と思っていると


よくない本の読み方の典型例の一つは、自分にとって良書ではない本をうっかり買ってしまい、さらにせっかく買ったからと、2週間くらいかけて無理矢理、全部読むこと



本は最初から最後まで全部は読まなくて良い。さっと確認して興味のあるところだけ拾い読みしていい



基本的に本というのは、学術書以外は、ある意味、著者の「与太話」、もう少しいいことばで言うと、著者たちの経験談だと思っています。
読書だけでなく、テレビやウェブも、情報のスキャニングを速くできる方法を知っていれば、どんどん活用すればいい
本が少なかった、あるいはとても貴重品だった昔ながらの、丸ごと頭からおしりまで何度も読むような読書術は、時代感覚に合わないのです。読書も、いまやウェブと同じ感覚で、リラックスしながら、必要なところだけを抽出して読んでいい

といったことが飛び出してきて、うれしい不意打ちをくらわしてくれるのである。
ただ、まあ全面的に本書の言うことに賛成かといえば、管理人の個人的な事情もあるのだが、
アマゾンなどのネットショップが一般化する中、管理人のように辺境(地方)在住の場合、書籍を買うにしても、書店はいわゆる売れ筋本しか置いてないことが多くて、正直なところ、リアルの書店は、現物をザッピングする意味合いが強くなっていたり、
さらには、信憑性や正確性の面では、書籍に劣るとしても、その情報の豊富さや、ちょっとマイナーな情報となるとネットの方が詳しい分野もある(特にLinux系の情報なんてのは、辺境の書店にはないぞ)、
といったことを感じていて、東京などの大都会在住なら別として辺境在住であればあるほど、本書のいうように「書籍の優位性」といったあたりには、若干の疑問を抱かざるをえない。

 ただ、それにしても、アマゾンのKindleを取り上げたり、ここまでネットとリアルの「本」の関係をきちんと書いている読書論はないだろうと思う。(たいがい、ネット批判で終わっているものね)

 このほか

(本を出版するときの)好循環を生む基本的な仕組みは「まじめに作って。まじめに売る」

とか


わかりやすく書く基本的な共通技術


 ①「自分の事例」「アンソロジー形式」を利用して親しみを持たせる
 ②「役に立つフレーズ」を必ず入れ、読書だけに体験を閉じない
 ③「共通体験」や「流通している言葉」を使って行動を促す
 ④「コンテンツ力」と「編集力」で進化していく

といった有益なアドバイスも満載なので、本好きの人や、本もネットも両方好きな人は、一読してもよいと思う一冊である。

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