2011年7月30日土曜日

斉藤 孝 「15分あれば喫茶店(カフェ)に入りなさい」(幻冬舎)

2010年9月の発行なので、最近の朝活、ノマド、キャリアアップといったトレンドをほどよく消化させた1冊といっていい。

といっても、斉藤先生の著作であるから、あれこれのテクニカルな技術を紹介した本ではなく、こうしたトレンドを踏まえながら、アウトプットをいかに効率よく、隙間なくなっていくかをアジテートする本である。
当然、「喫茶店」という場所を使って、いかに効果的にアウトプットするか、アウトプットできない環境(タバコがすごい、とか、周りの話し声が煩い、とか)の場合に効率的にインプットに切り替えるにはどうするかといった手法が語られているのは間違いないのだが、基本は。「喫茶店」という仕事場と家との中間点をつかって、どうやってアウトプットの量と質を高めるかが語られている本といっていいだろう。

構成は



第1章 「喫茶店タクティクス」入門

喫茶店は「アイデア生産」の場/喫茶店で「垂直思考」のクセをつける/喫茶店でインターネット依存から脱却する/喫茶店で自分を鍛え上げる/「15分」は仕事をするのに十分/「喫茶店タクティクス」の7つ道具/ストップウォッチは現代人の必需品/ストップウオッチのスイッチを押すと仕事は終わる/ストップウオッチで時間感覚を研ぎ澄ます/30分単位でモードを変える/仕事の「引継ぎ」は喫茶手で/「アウトプット」をイメージして「インプット」する/小道具の持込は最低限に/喫茶店では「メンタル・コンディショニング」を/喫茶店では「感想ノート」をつけよう/喫茶店で「雑談」のネタを仕込む/雑用をためて「セット」をつくる

第2章 みんな喫茶店で勉強して賢くなった

掘り下げて語りやすい場/喫茶店のライブ感が頭を刺激する/喫茶店で生まれた「シェイクスピア全集」/ノーベル賞級の思考も喫茶店が生んだ/喫茶店で本を「冷凍処置」する/喫茶店を「教会化」する/心をニュートラルにして吸収する/喫茶店が「英会話教室」になる/喫茶店では「大人の勉強」を/喫茶店二人会議/大人こそ「教科書と参考書」を使って予習を/喫茶店で自己客観視する/「懸案事項」が多い人は仕事ができる/懸案事項リストをつくる/懸案フックを増やす/「悩み」を「懸案フック」に解体する/「相談事」をつねに用意する/相談事は喫茶店で/喫茶店は「中間的な場所」である

第3章 タイプ別「喫茶店」利用法

喫茶店の意味が変わった/喫茶店は文化のバロメーター/スターバックスは「大人の勉強」に向いている/始業前の1時間を有効活用/私の好きな喫茶店/コーナー席を狙え/喫茶店の椅子にどう座るか/時間帯によって店を変える/マスターとの距離感/「マンガ喫茶」にはご用心/「元をトラナキャ感」が集中力を高める/電車のなかも「喫茶店化」する/新幹線と空港の「喫茶店化」/トイレや風呂も「勉強空間」に/主婦は喫茶店で自分だけの時間を/喫茶店は素手で相手に立ち向かう場所/深夜ノファミレスで人生を学ぶ/もっと「カフェ・ライブラリー」を/「自由人の空気」のある場所へ

となっていて、あちこちに「喫茶店」でないところが登場することから考えてても、「喫茶店(カフェ)」というのは物理的な場所だけを意味しているのではなくて、アウトプットに最適な場所をどうつくり、確保していくかがこの本の焦点ではないかと思う(もっとも、物理的な「喫茶店」が、そうした理想的なアウトプットとして構成するのに一番楽であろうことに間違いないのだがね)。

そして、その要点は
・人目に適度にさらされていること
・時間が限られていること
・(その場所を使うのに)お金を払っていること
といったところにあると読んだ。

読みやすく、短時間で読める本であるので、通常の仕事のやり方に飽きたときに、さらさらと読んで、活気を取り戻すに良い本であろう。

最後に筆者の「喫茶店タクティクス」の7つ道具に挙げているのは

手帳、クリアファイル、三色ボールペン、A4用紙、ノート、電子辞書、ストップウォッチ

の7つ。スマホやノートPCが入っていないのは、こうしたデジモノ系があまりお好きでないと見受ける筆者ならではだが、クリアファイルとかストップウォッチは、デジモノ派もマネしてみてもいいかなと思ったアイテム。使い方は、本書の中で確認してほしい。

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