2011年6月27日月曜日

矢田俊文「北九州市立大学改革物語」(九州大学出版会)

大学法人化にあわせた北九州大学の大学改革の当時の学長によるレポート。

大学改革というと立命館であったり、慶応の藤沢キャンパス、秋田県の国際教養大といった華々しいものが取り上げられることが多い。この北九州大学の改革はそうしたものとは軌を一にせず大学人による「地味な」改革である。
それは、「入学から就職まで一貫した大学」の実現であり、その手法として、教授会からの脱却は図るものの、若手教員を中心としたプロジェクトチームに内容を練らしたりといった、いわゆるトップダウンの改革とは異なる「大学人」による「大学人らしい」改革の歩みでもある。ただ、改革の内容としては、けして小規模なものではなく、大学全体のコンセプトに関わるものまで行っているあたり、「凡」が「非凡」を凌駕したものといっていい。

こうした改革そのものは、時間が経過すると改革の理念が風化してしまったり、「改革」そのものがドグマ主義に陥ったり、最後は、時間の評価に任せるしかないものではあるのだが、地方の公立大学の「大学改革」の成功例として、ひとまず認識していいだろう。

また、内容は「大学」をどう改革したかなのだが、大学という、プライドが高く、大きな変化を好まないところを改革した事例として、企業や公務における改革として応用できるものも多いものも多いのではなかろうか。

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