すでにコモディティ化してきているともいえるScansnapなどのドキュメントスキャナを使ったファイリングの、改めての入門編といったところだろうか。
こういった類いの書籍は、そもそもなぜスキャニングするのか、とか、いくつかの機種を選定して操作方法やらが書籍の半分ほどを占めてしまうことがよくあるのだが、類書と違って、「とにかくスキャニングする」を大前提にして、方法論からテクニックまでが記されているのが本書の良いところ。
いわゆる「自炊のススメ」というより紙データをどうするかが中心で、スキャンのメリットが,マニアックでなく説かれているのも好印象で、たとえば
紙もデジタル化したからといって、問題が何もなくなるわけではないが、少なくとも物理的にはちらからないし、テクスト化すれば検索できる。
最も重要なメリットは「クラウドに一元化」できること。どんな情報でもiPhoneやiPadがあれば読めるようになる(P48)
と割り切られているところが小気味よくてよい。
本書を読みながら思うのは、やはり、未だ「紙」のデータの豊富さというか、多さだろう。一頃、メールやウェブサービスによって「紙」媒体がとってかわられるような話があったが、自分の身の回りを見渡しても、電気などの請求書、企業からのお知らせ、ダイレクトメールなどなど日常生活で「紙」によって伝えられてくるものは大量にあるし、仕事上に至っては、紙書類は減ってはいるのだろうが未だ膨大であるという事実である。
だからこそ自衛の手段として、こうした「スキャニングのススメ」がまだまだ枯れたネタにならないところで、このあたりは同じような時期に流行った「ノマドのススメ」と違うところだ。
いくつか本書のトピック的なところを紹介すると
従前のドキュメントスキャナを使った紙データ管理に加えられているところは「スキャンしたデータはクラウドにアップする」(P68)、
「大事なものはクラウドのあげる」というルールづくりは不要。買い物メモだろうと、落書きだろうとかまわないからとにかく機械的にアップすること。クラウドにメモの履歴、メモの歴史を築いておく(P72)
とクラウドでの管理が前提となっているあたりは、Dropboxなどのクラウドサービスのコストがとても安価になっている時代背景とマッチしているといってよいし、
レシートのスキャンは習慣化する。1日分まとめてスキャンする。予定というものはカレンダーを見ればなにがしかのことはわかるので、これに紐づけできるようにする(P99)
といったところは昨今のライフログ・ブームにも沿ったところではある。
また、取り込んだ情報の整理に「ピンポイント情報」かどうかという尺度を入れて
「ピンポイントで必要になる情報」は「それが何であるか」で分類する、例えば「名刺」であれば「名刺」というフォルダやEvernote の「名刺」と名付けたノートブックにいれる、とか
「領収書」「交通費」「クレジット明細」など「それが何であるか」で分類整理するのがもっとも現実的
ピンポイント型情報では、「それがいつ利用したものか」をスタンプする
ピンポイント型情報の書類は「もらった日に取り込む」「手に入れた日に取り込む」という習慣をつける。「一言コメントをいれる」習慣をつける)日付、場所など)(P92)
といったところも参考になるか・・・
何にせよ、紙データのスキャニングは、始めないことには実感しようもないものでもであることは事実で、個人的な経験でもやりはじめると、みるみる周りの紙が減っていってすっきりしていくのも事実であるし、スマホやタブレットを使っている人であれば、いつでもどこでもスキャンしたデータにアクセスできる便利さはこたえられないものがある。いきなりハイエンドの機種には敷居も高いかもしれないので、モバイル用のものからスタートするというのも一つの選択肢、本書の購入とセットでドキュメントスキャナ・デビューというのもいかがか、とおススメする次第である
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