2006年1月9日月曜日

田沢竜次 「B級グルメ大当たりガイド」(ちくま文庫)

B級グルメという言葉を最初に使ったらしい元祖B級グルメライターによるB級グルメガイド本。

といってもグラビア本やいわゆるグルメ本と違って、写真は一枚もないのでご注意。

そのかわり桑田乃梨子さんのイラストが満載。写真がなくても、このイラストが結構楽しくて面白い。

食べ物ネタは「B級グルメ」の本らしくカツ丼、牛丼、豚丼、生姜焼き、ソース焼きそば、チャーハン、ラーメン、スパゲッティ・ナポリタン・・・

うーん、B級グルメの名に恥じない品揃え。

とはいって、安い・汚いをやたらホメるグルメライターでないところと管理人と年代が近く、しかも神保町、高田馬場あたりが筆者の根城だったせいかでてくる店に、あー、そういえば、と頷けるものが多いのが嬉しい。バブルの前の、やたら腹を減らしていた70年代の学生生活を彷彿させるのである。

中でも

高田馬場の早稲田の学生御用達の定食屋でまわりの学生と一緒に生姜焼き定食をパクつきながら、「若者は丼めし食ってナンボのもんじゃな」

といったところや

そもそも貧乏人の味方はラーメンだったのではないか、と嘆く場面や

ウィンナーソーセージというと高級で、お弁当のタコの形を思い出す

とか

美味しい天ぷらは塩で、なんて高級な世界があるけど、やっぱりつゆだくでいきたい

といったあたりは、膝をたたいて、あたりまえだのクラッカー、などと死語になったギャグをつぶやいてみる。

最後のほうでB級グルメライターの仕事で一番つらいのは同一メニューのはしごというところは面白い。

夏の暑い盛りに、3~4日も、朝、昼、晩、夜の4食ともラーメン、

とか

飯系のはしご取材は、なぜか寿司系のものは、ほとんどなくて丼系がほとんどだが、丼系は数がこなせない

などなど

グルメの資料本というより、グルメライターの書いたグルメエッセイとしてお奨めする。

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