2012年8月11日土曜日

おちまさと「人間関係は浅くていい」(扶桑社新書)

人間関係の持ち方、間の取り方というのは、時代に応じて濃い方と薄い方との間を揺れ動いているような感じがしていて、現在はどちらかというと今までの成果主義の反省と東北大震災による影響からか、非常に濃い方が支持される時代にあるような気がする。

そういったところで、「人間関係は浅くていい」というのは勇気ある発言でもあるが、こうした言葉が支持されるようになってきつつあるということは、時代が再び膨張に向かっていることの証なのかもしれない。

個人的には若造の頃からあまり「濃い」付き合いは好まないほうなので、筆者の主張、例えば

間関係には実態がないし、一人ひとりが頭の中で思い描くイメージもばらばら
人間関係とは私たちが心の中で作り出した「ゴースト」のようなものであり、実態がない以上、必要以上に怖がることなどない



ビジネスにおいて、ひとつの相手に「深く」依存しすぎていると、その相手が倒れたとき、自分も共倒れになりかねない。いざという時になってあわてふためかないよう、複数の相手と「浅く」つきあっておくべき

とか

そもそも、人生や仕事は、それぞれの人がそれぞれのリズムで干渉されずに進んでいくべきなのです。だからこそ僕は「人間関係は浅くていい」と言うのであり、これが深くなってしまうと、偶然、会社で同僚になった人や、隣近所のなった人たちに振り回されることになってしまう

といったところに、うむうむと頷いてしまうのだが、こうした性向のほかに、時代が不景気になり縮んでいく時代は、人間関係の「濃さ」が求められ、景気がよくなり人々の移動が増えていく時には、人の関係性の薄さに向かってしまう、という気がしている。

まあ、そうした時代性向の話とは別にして、こうした「軽る身」を主張する本はこちらの精神状態を軽くしてくれる効果もあって良い。
人間関係のうるささが面倒くさくなっている人は、本書を読んで、少し軽くなってもいいかもしれない。

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