2012年8月12日日曜日

おちまさと「100の仕事も同時に回るダブルブッキング時間術」(ソフトバンク新書)

時間術の本と言えば、スケジュール管理はアナログがいいかデジタルがいいか、と日程管理とかはどうするか、あるいは手中はどれが、といったいわば手段・手法についてのものが多くて、それはそれで読んでいて楽しいのだが、この本のように、仕事をより多く回すためには、どういうスタイリングで取り組みかといった理念中心の時間術の本は最近珍しく、その例が本書。

個人的に要点と思うのは、「二つ以上のことを同時に回すにはどうするか」を考えた場合、達成時期を見据えたシミュレーションと俯瞰力をどう身につけるか、といったことのように思う。

本書で言えば


P48
時間は直線の流れではなく膨張するもの
時間は操られるものではなく操るもの



P86
「想定外は必ず起こる」ということを想定しておく

バードアイの解像度を上げて物事を俯瞰しつつ、あらゆる経験値を参照して、脳内情報を検索する

とか

P118
ながら仕事はだらしない行為と思われがちだが、場合によっては非常にスマートな仕事の仕方になりうる場合がある
二つの課題が一つのソリューションに収斂されていくようなケース。つまり「一石二鳥」の場合

僕は企画を立てるときに心がけていることの一つがこの「一石二鳥」をねらうということ
いわば企画のダブルブッキング。できれば二鳥といわず一石「多鳥」を狙う

といったところに端的に現れているように思う。そして、それを進めていくと、当然仕事のスタイルにも及ぶわけで、最近流行りの「ノマド・ワーク」についても

P173
ノマドとは職業ではなく働き方の仕組み
僕で言えば、職業はあくまでもプロデューサーなので、プロデュースの職務を遂行し、100のプロジェクトを同時進行するには、デスクワークでは何も始まらず、遊牧民的な動き方でなければ不可能だからそうしている

さまざまなプロジェクトを同時多発的に回していかなかれば食えないので、自然と一箇所に定住などしていられなくなった。
だから、ノマドは、あくまでも結果論

といったスタイル重視のノマド論にピンをきちんと立てているのは流石といくべき。

方法論重視の時間術の本だけだと、時に茫漠としてしまい、目的と方法とがごちゃまぜになって立地点を見失ってしまうことがあるから、時折、こうした理念中心の時間術の本を読んで、場所感覚を取り戻すことが必要なのかもしれない。

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