2014年8月19日火曜日

グロースハック本を2冊読んでみた。

2012年頃から流行言葉になっているらしく、検索してみると取組事例や売り込みがぞろぞろとでてくる「グロースハック」について、遅ればせながら2冊ほど読んでみたところでの雑感

グロースハック、あるいはグロースハッカーというのは、あちこちの定義らしきものをみると「極力お金を使わずに、仕組みやアイデアでサービスを継続的に延ばすこと」で「成長(グロース)をエンジニアリングの力を利用して仕組み化(ハッキング)すること」をグロースハック、こういうグロースハックを担う人材を「グロースハッカー」というらしい。

注目を集めたのは2012年のアメリカ大統領選挙で、この手法を使ったロムニー陣営が、ウェブサイトやSNSなどのメディアを使ったマーケティングで短い期間で多額の選挙献金を集めたところかららしく、どうしてもその中心にウェブというものがどんとあるな、という印象は否めない。

そのせいか、ハックの手法の中心はどうしてもWeb系が中心で、HPの画面遷移の違いによるユーザーの行動などWebの分析手法であるとか、それに基づいたWebページの改善やアクセス改善が中心の話となるので、デジタル系だけではなく面と向かった折衝であるとか説得行為が多い仕事(おそらくこの世の仕事の多くを占めると思う)、あるいは実際の手作業が必要な技術的業務の場合は、座り心地が悪いのは間違いない。

ただ、そうしたアナログ中心の仕事で全く使えない代物かというとそうとも思えなくて、それは「グロースハックの要所はPDCAのサイクルをいかに早く回すかということ」であったり「グロースハックとは、ツールキットというよりマインドセット(考え方)」といったあたりで窺うことができると思う。


要は仕事の改善やハックをいかに早くやるかをウェブ系を中心に記述したものなので、顧客分析の考え方やグロース(成長)戦略の建て方は、今までのマーケティング手法の進化版と捉えられなくもない。

まあ、どういう人間がグロースハッカーに向いているかというところで「多彩なスキルを持ち職務範囲も多岐にわたる「ゼネラリスト」がグロースハッカーに向いて」いて「各分野の専門家である必要はないが、100が特定の分野における専門家の力と仮定した時に、その分野において80から90までのレベルに達している。そんな分野を複数持って」いて、「特定分野の実務を自分で担う必要はなく、その分野の専門家と共通言語で話せるリテラシーが必要」と語られているところには、おいおい、そんな人物が「ゼネラリスト」っていうのかよ、ってな突っ込みをいれたくなりはするのだが、最近とみに主張が強くなった専門家偏重、専門家志向の風潮の中ではうむうむと頷くところもある。

いったいに専門家の力を100培うのと、80から90で止めておくというのでは、かなり物事への取組方が違ってくるような気がして、100の力は、ものの考え方や視点の持ち方といったことも含めて、相当様々なものを犠牲にしないと培えないが、80までならある程度頑張ればやれそうな気がする。とりわけ80といかなくても50から70のレベルの分野が複数あるっていうのが、いままでの日本のサラリーマンの通例であるように思い、それであるならグロースハッカーの予備軍は今の日本のサラリーマン社会でもいそうで、普通レベルの会社の仕事でのグロースハックもけして画餅ではない気がするのである。

具体的な手法とか、分析の仕方といったところは2冊の書籍を読んだぐらいの当方では語る力を持たないので、実際に自分の仕事に合いそうなものをチョイスして読んで欲しいのだが、アナログ系の仕事に就いている人やアナログ系の仕事でグロースハック的な手法を導入してみたいと考えている人は、ライアン・ホリディ著「グロースハッカー」の方が手法的な記述が少なくて読み手が間を埋める余地や自分なりの手法を想像できる点で良いような気がする。
一方でウェブ的な側面が多くて技術的な成功事例や手法をより多く知りたいという人には、梅木雄平著「グロースハック 予算ゼロでビジネスを急成長させるエンジン」のほうがピッタリくるのではなかろうか。

マーケティングとか業務改善に興味がある人、仕事にしている人は、流行ものの一つと毛嫌いせずに押さえておいたほうが良い「単語」ではありそうである。


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