2013年11月16日土曜日

ちきりん 「未来の働き方を考えよう」

ちきりん氏の「未来の働き方を考えよう」をブックレビュー。

ちきりん氏の本は実は3冊ともリアルないしは電子本で保有していてはいるのだが、今のところ読了したのはこれが最初の本。
メイロマ氏と同様、好きか嫌いか両端に分かれる可能性の高いコラムニストではあるのだが、論客であることには間違いない。

ちきりんさんのブログは特に「うむ」と唸らされ、時に「ん」と疑念をもったりと、まあ付かず離れずといった感じで購読しているのだが、この「未来の働き方を考えよう」は世情、彼女のキャリアが恵まれているからでしょ、とか、ブログが売れてるもんね、とかamazonでも否定的な談話がない訳でもないが、私的には次代に「働き方」を思い描き、あるいは考察するのに読んでおいたほうが良い一冊として上げておきたい。

特に「ワークシフト」を読もうか、と思っている人はどうかすると「ワークシフト」より先に読む方が指南書駅な位置づけとしてよいのかもしれない、と思う次第。

序章 "働き方本"ブームが示すモノ
第1章 現状維持の先にある未来
第2章 世界を変える3つの革命的変化
第3章 新しい働き方を模索する若者たち
第4章 ふたつの人生を生きる
第5章 求められる発想の転換
終章 オリジナル人生を設計するために

という感じで、有り体な感想を言えば、第3章までは、よくある「働き方本」と同工異曲(筆者の40歳までの経験や統計的なデータがでてくるのが他の本、特に若書きのものとの違いではあるのだが)の感が強いのだが、本書の真骨頂は第4章。「40代後半で働き方を選びなお」そうというところだろう。

正直なところ齢五十を過ぎ、一応の定職に就き、部下という存在も一応あり、役職というものも一定程度ある、という我が身に照らすと、これからは競争が厳しくなりますよ、組織に頼って生きるってのは社畜ですよ、悔い改めて弱肉強食の世界に躍り出るか引退しなさい、という雰囲気がぶりぶり出ているモノや定職なんてのは愚者の真骨頂で働かないほうがいいのよ、てな「働き型本」「ノマド本」には「テヤンデぇ、お前らの仕送りはお父さんやお母さんがしてきたんだぞ、この野郎(野郎だけではないかもしれないが)」と悪態をつきたくなる世代なので、ちきりんさんの「今まで20年から30年間働いてきたんだけど、これから70歳代まで、さらに20年から30年同じ仕事を続ける気がある?」という問いかけのほうが、ストンと落ちてくるのである。

冷静に考えれば、昔は50歳や55歳が定年年齢であったものが今は60歳まで伸び、さらには65歳まで延ばす(高齢者の活用なのか、年金支給の関係なのかは知らないが)、そしてさらには70歳代へ、という流れが起きているのは間違いないし、人の寿命も伸びていっているのは間違いないので、ここらで人生90年を見据えて、一体自分はいつまで働く気があって、どんな働き方をしようと思っていて、何で働こうとしているのかってことは、高齢世代に突入しつつある我々の年代こそ考えていかなければいけないものなのかもしれない。

そう考えた時に最初の就職は口に糊するため、40歳後半以降自分の気持ちにあわせてもう一回職業を選択し直してみる、変えないまでも考えてみる、っていうのはなんとも蠱惑的な囁きである。ま、そんな感じで、いわゆる定年なり先が見えてきた世代が、これからの働き方、ひいてか生活のスタイルをどうするか、ということを振り返ってみるにも読んでおいてもいい一冊では。


ちなみにこの本、Koboの90%割引サービスでやけに安価に手に入れることが出来たもの。リアル本では古本でないと無理な仕業だが、このあたりが電子本の良さの一つでもある(筆者にとってはどうかはわからないが・・・)

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