2009年10月27日火曜日

佐々木 俊尚「仕事するのにオフィスはいらないーノマドワーキングのすすめー」(光文社新書)

ちょっと乱暴な総括だが、ネットワークサービスをフルに利用して、多数の人が集合して、同時期に仕事をする「オフィス」という形から脱却して、雇用関係も、場所も自由な仕事のスタイルをつくろうよ、といったことかしら。

構成は

第1章 ノマドワーキングのすすめ

第2章 アテンションコントロール

第3章 情報コントロール

第4章 コラボレーション

第5章 クラウドを使いこなす

第6章 ノマドライフスタイルの時代へ

と言う構成で、筆者のいう「ノマド」というのは「テクノロジーで武装したフリーランサーたち」のこと。

こうした会社に依存しない、あるいは会社との契約で仕事をし、生計を立てるという働き方が、「派遣」という今では手垢のついた言葉ではなく、「ノマド」という新しい言葉で語られるのは、昨今の「派遣切り」から始まって「正社員切り」にまで進みうる不況の長期化と無縁ではないだろう。従来型の不況が、いわゆる「正規化」への要望を増していったのに対し、昨年から始まる不況が「正規社員」すら聖域ではない、安全ではないレベルに達してきたことの裏返しなのかもしれないね、といった、ちょっと斜め目線から読み始めたのだが、どうして、どうして、この「ノマド」という仕事のスタイルは、何かしら魅力と誘惑をもっていることは間違いない。

それは、会社に入社して、いわゆる「勤め人」「サラリーマン」という形で仕事をし、生計をたてている者が常に抱いている「組織」というものと一定の距離をおきながら、自らの才覚で仕事をするという「見果てぬ夢」なのかもしれないなー、と本書を読みながら、ぼんやりと思うのである。

とまあ、とりとめもない感想は、これぐらいにしておいて、普通の会社勤めのサラリーマンにとっても、こういった仕事のスタイルというのは参考になるところは多い。
とりわけ、多くのホワイトカラーが、PCを使ったデスクワークからは逃れられないわけで、そうしたデスクワークをこなしていく上での「クラウド」サービスの活用の仕方やら、「ノマド」型のフリーランサーがネットカフェや、街中の無線LANサービスを使いながら仕事をこなしていく手段といったものは、日々の営業の中でも応用できるものが多くあるのは間違いない。

例えば、彼らがオフィスの代用として使う「サードプレイス」としては昔ながらの「ルノアール」が意外と便利だ、といった情報とか、iPhoneをはじめとしたスマートフォンとデスクトップ、モバイルPCとのコラボの仕方とか、各種のネットサービスなどなど、私も既に便利に使わせてもらっているものもあるし、本書を読んで、新たに加入したサービスもある。

ざっくり読んで、自分の仕事に使えそうなところをチョイスして、取り入れていくと、結構仕事のやり方をかえてくれそうなビジネス本である。「ノマド」にはそうそうなれないけれど、仕事のやり方を変えると、ひょっとするとライフスタイルを変えていけるかもしれないですね。

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