2008年12月25日木曜日

上山信一「だから改革は成功する」(ランダムハウス講談社)





一時代を席捲した「業務改革」の進軍ラッパのような本。

章立ては
第1章 Desigin なぜその改革は成功しないのか
第2章 Organize あの改革はこうして成功した
第3章 Work 本物の改革はこうしてつくられる
第4章 Skill 本物の改革屋はこうしてつくられる
第5章 Will 自分自身を改革する
の5章からなり、章立てでわかるように、改革の成功要因と失敗要因の分析から始まり、改革をするための手法の紹介、改革の実行部隊の作り方と志気の高め方、そうして、さあ頑張ろう、といった流れである。

本書が刊行されたのが、2005年10月で、2005年といえば、アメリカのジョージ・ブッシュが2期目の大統領になって、その年のハリケーンのカトリーナがアメリカを襲って、その対応で、ブッシュ政権の人気が急落した年だ。
日本は、といえば、名古屋で「愛・地球博」が開催され、夏には郵政民営化を焦点に、小泉首相が衆院を解散、自民党が圧倒的な勝利をおさめ、10月には道路公団が分割・民営化された年だ。
まさに、「改革」大流行の年に発行されたわけだ。


こうしたシチューションを踏まえながら、今改めて読み直すと、改革の本質は「改革と改善は違う」「組織の体質そのものを変える」「組織の存在そのものの否定も考える」というあたりや改革に挑むために、各部門、各分野のベストな人材を集めてドリームチームをつくる、などといった、「改革」が、錦の御旗になっていた時代らしい雰囲気がそこかしこに出てきていて、当時の、「それなりに」熱気あふれていた時代の息吹が感じられる。


とはいっても、当時の改革ばやりの世相だけを反映している訳ではなく、

例えば

改革屋になるための必要条件は

①「好奇心」そしてリスクをとることをいとわない精神力
②知らない分野の人たちと円滑な「コミュニケーション」がとれること
③謙虚さ

改革屋になるための十分条件

①物事を深く「分析」し、わかりやすく「まとめる」能力
②「チームマネジメント」の能力
③「ひらめき」と「カリスマ性」

といったあたりや

キャリアデザインを考える3つのポイントは

①得意技を伸ばすこと
②「やりたい時にやりたいことをやる」という楽観主義
③就職という概念を捨てること

といったあたりは、今でも通用するのではないだろうか。


まあ、こうした変転の時代に生きている以上、かってのような一種「平穏」な空気のもとで暮らしていけるケースは、むしろ稀で、自己否定を繰り返しながら、「改革」「変化」というものを、ある程度当たり前のように、こなしながら、ビジネスにしろ生活にしろ、やっていかないといけない時代になっている。

そうした意味で、「改革」の旗を振っていた、あるいは振っている立場から書かれた「改革を鼓舞する書」として、眼を通しておいてもよい本であろう。



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