2005年9月25日日曜日

塩野七生「ローマ人の物語 18 悪名高き皇帝たち[二](新潮文庫)

ティベリウスがカプリ島へ隠遁(というか、遠隔政治)を始めるころから。手堅くてみんなが本当は平和でハッピーなはずなのだが、まったく人気が出ないまま死没。その跡は、やたらノー天気のカリグラが即位して、派手なことばかりやってるうちに、腹心の部下によって暗殺されるまで。

とうとう、陰気なティベリウス親父は離れ島に引っ込む。とはいっても政治の実権は手離さず、手紙を元老院へ送っては承認を求めるやり方。やっぱり、なんか陰険だな。「やるときゃ隠れてないで、表出てこいー」って元老院議員も言いたかっただろうな。あと、この人、元老院や今までの仲間に結構、粛清の嵐を吹かせたらしい。
とはいっても、政治は安定していて庶民は食うに困らなかったが、辛気臭いので人気が最後まで出なかったという親の心子知らずの典型

このティベリウスの死んだ後、皇帝になるのが、カリグラ。ティベリウスの養子ゲルマニクスの子供。カリグラって名前はちっちゃな軍靴(カリガ)という意味なことは、この本で初めて知った。(本名はガイウス・カエサルって言うらしい)
小さな頃は、親父の軍団のマスコット。でも、親父は早死。お袋と兄貴は、皇帝に逆らって流刑死。

こういうのが成長して実権手に入れると、箍(たが)がはずれちゃうよねー。やたら、派手な皇帝だったらしい。
どこのお店(たな)でもしみったれの因業親父の後は、ぬっぺりとした放蕩息子が継ぐのが定番だから、ローマ帝国も、同じってことか。

でもまあ、剣闘士の試合といった娯楽だけでなく、公共水道の整備とか港の建設とかインフラ整備道楽もしたのが、そこらの若旦那の遊びとは違うところ。(道楽の究極、庭道楽に手をだしちゃった、ということかな)

財政破綻の始末をつけようと税制度かえたり、不満な元老院議員を反逆罪で告発して財産没収したり、なんか結構ワヤなことやったみたいだが、最後は、近衛軍団の軍団長に暗殺されて一巻の終わり。

暗殺した近衛軍団の軍団長は、亡き親父に目をかけられていた人らしいから、不肖の若君を、亡き殿にかわってじいやが泣く泣く手にかけたってことかな。(この軍団長、弁解もせず死刑になったところも、なんか切腹っぽい)

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