2013年6月9日日曜日

グルメを裏からみるとこうなるか・・・ 菅野彰×立花実枝子 「あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します」(新書館 ウィング文庫)

それぞれのジャンルに、裏筋からそのジャンルを扱ったり、頭からなぎ倒したり、といったトンでも本は存在するもので、例えば、旅行記で言えばゲッツ板谷の「怪人紀行」シリーズ 、思想書ぽいジャンルでは、坂口 の「独立国家の作り方」といったところを思いつくのだが、この「あなたの町の・・・」も間違いなく、グルメ本のジャンルのトンでも本に間違いない。

なにせ、どの町にもあるであろう、廃墟とも間違わんばかりの「店」を訪れて、注文し、しかも完食する、という苦行ともいうべきグルメ(?)ルポ、である。

登場する店は、筆者の住む町近くの大泉学園の寿司屋と中華料理屋から始まって(この寿司屋は味は変な店ではなかったようだが)、湘南台のレストランまでの十数店。中華から洋食まで食するものは雑多であるが、さすがに命の危険に直結しそうな、刺身系の生ものの店は入っていないのは、店選びに関する筆者たちの慧眼というべきか、あるいはそこまでいくと洒落にならないという編集部の英知か?

なにせ、「死んでいる」と評された店の共通点はいつのものかわからない食材の古さと使われる油の粗悪さ。お決まりのように食べたもののオールリバース+数日間の寝込み状態というすさまじさなのである。そして、そのすさまじき食べ歩きのルポと4コママンガが、なんともアッケラカーとして陽気なのが、ますますそれらの店の提供する料理のグロさをかきたてるのである。

まあ、体力や気力に溢れている時にはお勧めしないが、暑いときには熱いものを食せ、という避暑法のように、気力が落ちているときのカウンター療法として薬効がある(かも)しれない

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