2008年11月27日木曜日

吉越誠一郎「デッドライン仕事術」(祥伝社新書)

元トリンプ社長の吉越浩一郎氏の仕事の能率をアップさせて、時間外をなくす仕事のやり方を開陳したビジネス本。
トリンプ当時から、独特の仕事の進め方で、業績を上げてきた吉越氏の著作らしく、明解で、わかりやすいノウハウが満載である。
「デッドライン仕事術」とは簡単に言えば「就業時間も仕事も、すべてに明確な締切りを設定する」ということで、この締切りを意識して仕事をするからこそ、時間外もなくなり、能率も上がる、というものなのだが、よく読むと、単純にそれだけではないらしい。

例えば、締切りを意識し、守らせるために、会議で、かなり厳しく、ボトルネックになっているところを確認して、鞭をいれたり

時間外をなくす意識づけをするために、終業時になると、自動的に電気が切れるシステムを導入したり、

勤務に集中できる時間を確保するために、会社外からの電話を取り次がない時間を設定したり

などなど、「デッドライン」を守るために様々な工夫がされている。

たしかに「締切りを守れ」といったスローガンを叫んでいても、守られないのが「締切り」といったものだから、など「うんうん」と頷けるアドバイスも数々。

ところどころ「ワーク」と「ライフ」はまったく別物だ(この時の「ライフ」は私生活という意味らしい)や「社員教育」は無駄だなど、ちょっと欧米っぽすぎたり、過激過ぎるところがなきにしもあらずだが、かなりぐいぐいと引き込まれて読めるビジネス本である。

ただ、このうちの時間外禁止の話は、聞くところによると、吉越氏が社長の時は実行されていたが、社長が変わって、トリンプでも実行されなくなっている、という話を小耳にはさんだことがある。
変遷というものは、どこの世界にもあるものなのだ。まあ、そんなところを割引しても、ちょっとやってみようかな、と思わせるところの多いビジネス本であることには間違いない。

さらに、かなり論旨が明快なので、サクサク読めることも確かである。ちょっとした時間の合間に読むビジネス本としておすすめ。

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