「ワーケーション」を企業移転・移住促進の視点でとらえることに違和感を感じる

2020年9月11日金曜日

地域振興

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 2020.09.02付けのYahooニュースで「東京の中心から淡路島へパソナ本社勤務1200人の大移動 ネットでは不安の声も「実質的なリストラ?」」と題して


人材サービス大手のパソナグループが、9月から段階的に東京都・千代田区にある本社の主要機能を、瀬戸内海東部の離島・淡路島に移すことを発表し、話題になっている。兵庫県の島で、行くには神戸や大阪から橋を渡って車で約1時間。たまねぎや魚介類など、数多くの食材があることで有名だが、ここに本部機能に携わる社員約1800人のうち、1200人を移すという。


といった記事が掲載されていました。


「淡路島」はかなり大きな島で神戸や大阪にも近く、自動車道も本州や四国とつながっているので「離島」という表現はちょっと誤解を招くかな、とは思うのですが、いずれにせよ、東京の大手派遣会社の本社機能の多くが多数の社員とともに「地方の田舎」へ移転する、ということには間違いないと言っていいと思います。


本社を東京から移転するというのは、東京への一極集中を是正するとともに、地方へ法人税などの税源を移すことになりますし、さらにパソナさんは小豆島と多くのかかわりを持ているということなので、僕がどうこういうことではないのですがということではないのですが、今回の事例が「ワーケーション」「リモートオフィス」の延長線上で論じられているのがちょっとひっかかった次第です。。


というのも、「リモートオフィス」「ワーケーション」というのは企業がまとまって集団移動するという概念ではなくて、あくまでも、社員それぞれが自分の趣向にあわせて働く場所を選ぶという「個人志向」に根差すものではないかな、と思うからですね、

「集団行動」ではなく「個人行動」。パックツアーではなくて「ソロツアー」みたいなイメージです。


なので一部の自治体で元気をだそうとしていたり、政府が推奨をはじめた「ワーケーションの誘致・推進」というのは、形を変えた「企業誘致」「企業移転」の別バージョンにすぎなくて、今回、新型コロナウィルスの感染拡大で一挙に加速していったDXの動きとはちょっとずれてんではないかな、と思っているのであります。特にワーケーションに興味がある都会企業と協定したり、協議会をつくって呼び込みを組織的にやろうってのは最悪な感じがします。ワーケーションでどこに行くかを選ぶのは、企業じゃなくて、個人だろっってなところですね。


今、うねりのようになっている「DX」の動きは、生活様式や生活に関する考えをガラッと変えるもの、例えば、今までセットであった「職」と「住」を分離したり、「働く場所」を企業の所在する場所から切り離すといった、人の存在を場所への束縛から解放する、というように考えているので、むしろ一定場所への集団移転、都会から地方への集団移住ではなくて、都会へ集中させている「縄」のいくつかが消えて、一部がバラっと彷徨い始めろうようなものだと思ってます。


なので、それはどこに行くかわからないし、どこかに永住することがセットになっているものでもない、そんな感じです。


もちろん、「職」と「住」が分離するということは産業革命以降の大きな価値転換には間違いありません。しかし、住むところを「職」から解放するということは、「定住する」ということ自体からも解放することにつながっていて、「ワーケーション」が象徴するところを、移住定住、東京からの一極集中是正のベクトルだけでとらえることは、「住む」というリアルが、「デジタル」の中に取り込まれていき、どこに住むかということが重要でなくなってしまう流れを見逃してしまうような気がするのですが・・・。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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